自粛解除。社長の給与の増額、チョット待った!!

コロナ禍で売上が大きく落ち込んだお客さんがあります。

売上が減ったので、社長が自身の給料を下げてなんとか会社のやりくりをしていました。

その後、緊急事態宣言が解除され少しずつですが売上が戻りつつあります。

なので、減らしていた社長の給料を元に戻したい。との事。

戻すこと自体は自由ですが、戻した分(増額分)が経費として認められない。というリスクがあります。

役員の給料を増額できるのは限られた期間だけ

そもそも会社の役員の給料は「定期同額給与」と言って、1年間毎月同じ給料でなければ、いわゆる「経費」として認めてもらえません。

これを自由にさせてしまうと、「あ!今期かなり利益出そうじゃん!税金取られるの嫌だからオレの給料ドーンと増やしちゃえ!」と考えて、決算前にドカンと給料だして利益を少なくして、税金も少なくしようと画策する人が出てきます。

これは税逃れ、租税回避行為といいます。分かりやすく言うと脱税です(業績悪化で減額するという場合は税逃れではないので、減額改定はオッケーです)。

これを防止するために「定期同額給与」という縛りがあるわけです。

かと言って、頑張って業績上げたのに社長の給料上げちゃダメ!ではありません。

決算後、新事業年度の初日から3ヶ月が経過日等つまり3月決算なら4/1〜6/30までは増額して良し!ということになっています。

その後は決算まで同額の縛りとなります。

これを破った場合、増やした分が法人税の計算上、経費(損金)として認めてもらえないことになります。でも所得税は増額後の金額でバッチリ取られてしまいます。

それを承知で、それでも「もっと給料くれよ!」というのでしたら、払う事自体は自由です。止めはしません。

知らずに増額しちゃった…これが危険です。税理士に内緒でやったら、たぶん怒られます。

コロナ禍でやむなく減額。その後の増額に救済措置はあるのか?

ありません。

と、意識しておきましょう(まったく無いわけではありません)。

期首から3ヶ月間に行った減額→増額はオッケーですが、3ヶ月を越えてから増額した場合は、その増額分は法人税の計算上は経費としてもらえません。

認められるとすれば、

①いつも飛び回ってた社長がコロナ自粛で休業。→仕事量が減ったから給料を下げた。

②自粛が終わったので営業再開。また忙しく飛び回る日々に戻った→だから給料を元に戻した。

このような場合でしたら「職務の重大な変更」と言え、「臨時改定事由」として戻すために増やした分も経費でオッケーということになります。

これ以外の場合。営業は続けてるけど、お客さんや注文が激減したからやりくりが大変!やむなく泣く泣く社長の給料も下げざるを得ず…。

だったけど、やっと売上が戻ってきた!もう元の金額に戻して良いよね!

という場合は「臨時改定事由」に当たりません。先にも述べましたが、戻すのは事由。でも法人税の計算上、戻した増額分は経費にならない。

そこんとこ、注意が必要です。

実際にいらっしゃったので。

僕は「日本一腰が低い税理士」カミナリは落としませんでしたが。

Noと言えない日本の典型ともいいますね。。