久しぶりの東京で己を知る

移転前に中央経済社へ。会計人コースの執筆依頼をしてくれた編集者に挨拶を。

長らくコロナで控えていましたが久しぶりに東京に行きました。

縁あって僕の受験体験に興味を持って頂いた中央経済社さんが会計人コースのweb版に載せてくれるというので、しばらくそちらの作成に集中していたのですが、丁度会計サミットに行くことになったので上京ついでにご挨拶をと思って。

受験時代は紙媒体で書店で売られていたので何回か買ったことがありましたが、まさか僕がそこに寄稿することになろうとは(紙媒体での出版は終了したとの事)。

受験時代を細かく振り返ったことは無かったのでとても良い機会になりました。もしかしたら11月に掲載されるようなので、よろしければご覧ください。

力量の差を痛感

東京に行ったメインの理由は浜松町で開催されていた会計サミットに行くことでしたが、急遽その後に若手公認会計士の先生方とご一緒できる機会に恵まれました(会計サミットは結局ソフトメーカーの展示会なだけだった)。

大学生の頃に公認会計士に合格したという経歴の若者たちでしたが、彼らの下積み時代は仕事量が多過ぎて近場のホテルで生活(月の宿泊代が20万円)していたそうです。現在は東南アジアの税務、管理会計、M&A…と幅広く精通していて、業界歴は同じくらいなのに下積みの時からずっと濃密なことをしてきたから今があるのだなぁとひたすら眩しく見えました。

昔、とある税理士から「どんな事務所に就職したかで会計人としての人生が決まる」と言われたことがありました。

僕が修行していた事務所は高齢の税理士で縮小路線。税務署寄りの姿勢でワンマン。自分でやった方が早いから余計な事をするなと度々言われて何もさせてもらえませんでした。

何度も移籍を企てましたが「税理士合格」を第一義としていたため、結局15年も在籍していました。

税理士登録の目処が立ったあたりからは自身のスキルアップのためにボスの指摘も無視してやっていましたが、最初からそうしておけばよかったなぁと。

仕事か、受験か

税理士受験生が一度はぶつかる壁だと思います。

大きな事務所、仕事量の多い事務所では朝と夜の残業が当たり前。休みは持ち帰り残業なんて話も聞きます。僕もかつて東京の事務所の内定を貰った後に「受験は君の趣味だろう?終わるまで仕事してくれないと困るよ」と言われその内定は蹴りました。

スキルは身に付いたかも知れませんが、勉強できずいつまでも無資格者の職員として飼い殺しになっていたかもしれません。実際に税理士登録させたがらない事務所もありますし。

僕はとにかく税理士になることが絶対的な目標だったので結局移籍は断念し、ずっと1箇所の事務所にいました。精神的、金銭的にはブラックでしたが縮小路線で仕事は薄く、時間だけはあったので(そのくせ無駄に不合格を連発してしまった)。

仕事を優先しても勉強を優先してもどちらにせよメリット・デメリットあるでしょう。

よく「4〜5年で移籍する」というのが普通だと言われましたが、なるほどそういうことかと。色々な所で色々な仕事を見る。それは僕が怠ったことです。

とはいえ今となっては時間は戻せないのでこれからどうにかしていくしかありません。

だから凄い人たちにもチャンスがあれば率先して会いに行っているわけです。圧倒されるほどのデキる人に会うのは高額なセミナーに匹敵しますので。

おわりに

仕事も色々経験したいけど税理士試験の勉強もしたい。僕はそれを叶えてくれる事務所と巡り合えませんでしたが、今こうして税理士になってみると同世代以下の税理士は「先生」とふんぞり帰っている人はほとんど見ません。

自分の右腕として育てたいという若手税理士も最近は多いように感じるので、今の時代は環境の良い事務所が見つけ易いのかも知れません。

税理士を目指し、その道で食べていくというのなら、どんな事務所に入ったかで人生が変わります。税理士の資質的にも一度きりの人生的にも。

当時の僕は「辞めるほどの実力も無いから…」と長く居座るほど自信を無くしていったものですが、あの時強気になれていたら違う未来が待っていたかも知れません。