独立から半年経って思うこと
早いもので独立開業して半年が経ちました。あと2ヶ月で念願の税理士登録から一年が経ちます。
そんな中で近頃、自分でも「おや?」「ほほぅ」と思うことがあります。
喜怒哀楽の喜と楽が増えた
もともとテレビはほとんど見ていませんでした。受験生活が長過ぎたので。
今は世間の情報を知るべくニュースを中心に、あとはスポーツ中継。ごく稀にバラエティなども見ています。
番組を見ていて、笑うことが増えたなぁと自分でも驚いています。
以前はよってたかって一人を攻撃することで笑いを取ろうとする今の芸人を冷め切った目でゴミを見るような目で見ていたものです。
スポーツ中継もチャラチャラした身なりでインタビューの言葉遣いもだらしない、態度だけは大きいくせに結果を全く出せていない選手を同じようにゴミを見るような目で見ていました。
「自分は結果が出せないポンコツだから現実を受け入れて我慢してるのに、アイツの態度は何だ?何様だ?」という卑屈さからです。今思えば(泣)
それが今となっては些細なことでも笑っている自分、万年最下位争いで低迷しっぱなしの清水エスパルスを度々スタジアムまで行って応援している自分がいます。
さらにお客さんに誘われて「営業の一環」として仕方無く始めたゴルフも当初は先輩税理士の方と一緒でなければ打ちっぱなしに行くのも嫌でしたが今となっては暇さえあればひとりでノコノコと練習しに行ってるほどです。
安堵感が心のゆとりに繋がる
受験をしていた頃は結果が全て。勝てば官軍の世界でした。
僕が税理士を目指すと決めた時にはまだランドセルを背負っていたような子にも追い越されていきました。
後から来たのに追い越されて何度も何度も心の中で泣いていたものです。あれだけ勉強したのにまた不合格、不合格、不合格…。
この苦痛を知らない人間は軽々しく「努力のしかたを間違ってる」と言います。そのくせ「正しい努力」を教えてはくれません。
何年も何年も「これでもか!」「これでもか!」と…。その「これでもか!」に+1をさらに積み重ねる。その苦労は今でも誰も分かってくれる人はいないと思っています。
そういう精神状態でさらにブラック事務所というストレスも重なったら心にゆとりなどあるわけありません。
税理士バッジが付いて「雰囲気が変わったね」とお客さんに言われたのはそういったストレスから開放された安堵感からなのかなと。
色々なことにチャレンジしてみようと思えるようになったのも受験勉強という時間の消費がなくなったからで、大袈裟に言えば人の心を取り戻せたのかなぁと。そう思えたりもします。
受験生のキミへ
誰よりも不合格を繰り返して誰よりも学内一位を取り続けたような人間なので気の利いたアドバイスなんかできません。「間違った努力」をし続けた人なので。
でも、それでも税理士にはなれます(それくらいしか自信を持って言えません)。
おそらくトントン拍子で合格していく人にはできていたこと…適度な「努力しないこと」を知っていたのではないかなと。力の抜き方が上手ということです。
当時、一緒に大原に通ってて僕より10年以上早く税理士になった人は本試験の1週間前に「前祝い」と称して風俗に行っていました。
「こんなヤツ落ちろよ…」と思っていましたが落ちたのは僕の方でした。
この人はいささか特殊ですが、他にも「教材は家に一切持ち帰らない」という人がいました。この方は帰宅したら子供の世話や家事があったからだと思いますが、大原にいる時間だけで集中してやる。帰ったら勉強のことは忘れる。それが気分転換になっていたのでしょう。
つまり「度を超えると良くない」ということです。
サボり過ぎは論外ですが、勉強のし過ぎもダメだと言うことです。
先に例に挙げた二人は講師に「もう受かり方が分かっているね」と言われていました。常にランキングトップクラスの僕は「努力のしかたを間違えてる」と言われました。
度を超さないように、受験生の身であっても遊び心や打ち込める趣味はあった方が良いのだと思います。
社会人という立場での受験はたった一度の不合格が人生に大きく影響します。
それを18回、約20年も費やしたのだから取り返しのつかない人生を歩んでいます(人生にセーブ機能はないので誰しも取り返しがつかないのですが)。
同い年の有名人はスポーツでいえば小野伸二、高原直泰、ピルロ、フォルラン(ピルロとフォルランは誕生日が2日しか違いません)。芸能人だと堂本剛、奥菜恵、仲間由紀恵…そういう世代です。
キャリアを終えていたり、一歩退いていたり、若手の台頭に抗えなくなってきています。
そんな年齢になっての税理士デビューです。平成生まれの先輩税理士だって何人もいます。
そんな僕が得た教訓から言うと、たとえ一度でも「記念受験」などしてはいけません。たった一年を棒に振っただけのつもりでも時が経つほど人生にダメージを受けます。
今この瞬間でさえ、目標を達成したはずなのに安堵感の他にも立場にビクビクしている自分や将来の不安に怯えている自分がいます。「こんなはずじゃなかったのに…」と思うこともしょっちゅうです。
ストレスが減った分そんな余計なことを考えてしまうのかも知れませんが…。