伸びた鼻は自ら圧し折ろう。

職業を聞かれて「税理士です」と答えると驚かれます。そして「頭が良いんですね」「すごいですね」と言われます。で、「先生!」と呼ばれます。

僕はその反応が苦手で、お客様にも先生などとは呼ばないようお願いしています。「先生って呼んだら値上げしますよ(笑)」と。実際そんなことで値上げはしていませんが、それくらい「先生と呼ばないで」ということです。

専門職なので凄いと思われがちですが、それでふんぞり返るのはいかがなものかと。

確かに難関試験を突破して掴んだ資格ですし、そこにはささやかながら誇りはあります。

でも、カフェに行けば僕よりも20歳は若いであろうバリスタさんが見事なラテアートを見せてくれます。僕には出来ないワザマエです。

近所のコンビニでネパールから留学で来たという女の子がバイトをしていますが、僕が外国へ行ってその国の言葉でその国の通貨を扱うなんて怖くてできません。

要は「たまたまこの仕事に縁があって、続けてるうちに周りの人より詳しくなった」だけです。

そう考えると、僕らが相手にするお客様は何らかの経営者が大半なので、「その道のプロ」「自分にできないことが出来る人」ということになります。

そこには尊敬の念があって然るべきかなと。

税理士だって「普通の仕事」です。昔でいう貴族でもないし特権階級でもありません。単なるサービス業の一種なわけです。

それを、税という難しい領域を仕事にしているせいか、ときに無資格者であっても偉そうな態度の人間がいます。大きめの建物の税理士法人にいるから、大手監査法人にいるから、給料多いから、だから個人事務所より上などということはありません。ましてやお客様にナメた口をきくなどとは言語道断。そういうのは最低でも税理士という土俵に立ってからにしてほしいものです。僕は同じ土俵でも相手にしませんが。めんどくさいので。

謎の上から目線が好かれることは稀でしょう。

僕は目に余って少し強目の言い方をしてしまった時でさえ、その場を去ると自己嫌悪になって反省します。「怒る」という行為はパワー消費が著しいので。

もともと「コレを言ったら相手はどう思うだろうか」と推し量る癖があるので、心で思っても言えません。

思ってる時点で上から目線だろという意見もあるかと思いますが、僕は聖人君子ではないので悪しからず。

基本的にあまり自画自賛しない、自分を好きになり過ぎない、つまり自惚れない。人と接する時にはそのようにしています。自己嫌悪に陥るたびに圧し折り続け、もはや伸びなくなっているようです。