理論暗記がある科目の勉強法

所得税に合格した時の理サブ。

読んで覚えるか、書いて覚えるか

税理士試験は簿記論以外の科目には理論暗記があります。

計算50点、理論50点。とにかく一字一句丸暗記しなければなりません(財表は一部作文で通用しますが)。

僕は財表、所得税、消費税、相続税、国税徴収法の受験経験がありますが、最後まで「読んで覚えるか、書いて覚えるか」で迷い続けました。

中学生時代によく暗記をさせる国語の先生がいて、枕草子の全暗記とかやってて暗記には自信があったのですが(ドラクエのふっかつのじゅもんとかダウンタウン熱血物語、聖闘士星矢などの最強パスワードもまだ覚えてる)、税理士試験の理論暗記はまったく別物。なかなか覚えられませんでした。

もともと赤点取るようなポンコツだったのもあって財表と所得税もそれぞれ3年かかりました。

所得税が3年で受かったのに何で簿記論に18年もかかったの?と時々聞かれますが、五月蝿いですよ?ほっといてください(笑)

理解に努めた財表、書いて書いて書きまくった所得税。

僕の初税法は所得税でした。働いてお金を稼いでいる以上もっとも身近な税金なので、興味を持てるかなと思ったので(選択必修というのもあった)。

財表に合格してから税法に行きましたが、財表の暗記と税法の暗記は別物に感じました。

財表はキーワードを抑えてあればある程度作文でも点数がもらえます。一般原則など丸暗記が求められるところもありますが、「貸倒引当金を説明しなさい」「有価証券の種類を挙げて説明しなさい」といった問題だったら丸暗記ではなく理解度が求められます(僕が合格した時の問題です)。

それゆえに財表の理論暗記は理サブは使いませんでした

暗記に自信がある人なら全て丸暗記で良いかもしれませんが、僕はそうではなかったので。

当時の水道橋校の講師が毎回理論テキストの縮小コピーをレジュメに入れてくれていたのですが、テキストなら暗記すべき理論の下に解説文があります。暗記というよりは解説文を何度も読み返して理解に努めました。そしたら本試験でもペンが止まること無く書けたのです(30分も余って計算2周できました)。

本試験は学者や実務家が作問するので、見たことのない言い回しで問われることが普通にあります。そういうときに理解力が培われていたら問題文の読解力に繋がります。

分からないことを暗記するのは苦痛ですが、理解が先走っていると定着も早まります。

所得税の理論暗記で腱鞘炎。

税法の理論暗記は根性論100%で乗り越えたものです。

最初は周りの受講生や講師のススメで読んで覚えようとしていましたが、その瞬間は覚えられるのですが、テストになると書けませんでした。

だから書いて覚えようとするのですが、そうすると時間がかかって次の講義までに宿題が終わらない…。理論をやるほど計算がなおざりになっていました。

結局、最後まで書いて覚えるか読んで覚えるか、自分のスタンスが確立できず…惨敗したものです。

そんなことを2回も繰り返し、3年目の所得税のとき「他人を信用しない」という闇スキルが発動します。

時間の無駄と言われようと、努力のし方を間違ってると言われようと、「オレは書いて頭と体に叩き込むしかない!」と決めました。

当時の大原にはB4タテ版の理論練習用紙が一冊500円で売られていました。それをケチって裏面も使いながらも1年間で4冊使い切ったものです。

そんな物量作戦で挑み続けた結果、ペンを持つ握力が無くなってしまい、手首にバンテリンサポーターを着けて、左手で右手首を押さえて書いていたものです(理論を書く速さは常にクラス一位で先生が個別にタイムを計ってくれるほどでした)。

この時から10年くらい経ちましたが、未だ右手の握力が戻らず長時間書き物もできませんし、バイクのクラッチを長時間握れず小排気量のバイクではすぐ握力が無くなってしまいます…。だからリターン式のモトラなわけです。

理サブは汚せ

冒頭の写真のように僕の理サブはぐっちゃぐちゃです。

コレは視覚でも覚えるためです。

この理サブは買い換えず2年使ったので2年分の汚れですが(改正箇所は糊で貼り付けた)、汚れてるところほど多く間違えた=弱点ということです。

汚れていく過程は次の通りです。

  1. 文節を斜線で区切る
  2. カッコ書を黄色のマーカー(まずは本文を覚える為)
  3. 1度目の間違いは青のマーカー
  4. 2度目の間違いは青のアンダーライン(赤のアンダーラインは重要な所)
  5. 3度目の間違いは傍点を打つ
  6. 4度目の間違いはその箇所を囲む
  7. 5度目の間違いはオレンジのマーカー
  8. 6度目の間違いはピンクのマーカー
  9. 7度目の間違いは赤のマーカー
  10. 8度目の間違いは紫のマーカー
  11. 9度目の間違いは茶色のマーカー

これくらい間違いを重ねると灰色っぽくなってかろうじて文字が分かるくらいなのですが、何度も間違える=弱点を炙り出せるわけです。

試験当日、始まる15分前までの間は理サブの一番汚れてるところだけを見る。

そしたら本試験中、書くべき理論が答案用紙に浮かび上がって見えました。スポーツでなくてもゾーンに入るんだなぁと。途中で行き詰まっても色で思い出したこともありました。

計算はズタボロでしたが理論は完璧に書けたおかげで合格できました。

余談ですが、本試験会場で綺麗な理サブを持っている人を見ると「コイツには勝ったな」と思えたりもしますし、逆に「コイツやる奴だぜ…」と圧倒できるかもしれません。

合格率が上位10%ならば、要は自分よりできなさそうな人を9人見つければ良いのです。気休めには。

7回素読みしてから、書く。

所得税の合格後、変な勝利の方程式に己を過信して、また不合格が続きました。

その間も試行錯誤と創意工夫を続けていて(なかなか受からない簿記論の時間も確保しなければならないため)、書かなければ覚えられない自分が何とかして少しでも時短できないか…。ようやくしっくりきたのが、

7回素読みしてから書いてみる。です。

5回だと足りなくて、10回だと集中力が途切れてぼんやりする。結果、7回が最適でした。

この素読みの時は暗記しようとはせず、とにかく棒読みするだけ。

それを7回も続けると意外と頭に入ってきます。そこから書き始めると、最初から書いて覚えようとするよりも時短で暗記できました。

もし今、理論暗記がうまくいっていない、暗記法が確立できていない、そういう方がいましたら、ひとつ試していただけたらと。

おわりに

YouTubeをやってる税理士、本を書いてる税理士、SNSで発信している税理士…そういう税理士は自然と目立ちます。そういった方々は軒並みデキる、ヤリ手な方々で短期間でバシッと結果を出しています。

そういった人を見ても今苦しんでいる自分にはどこか雲の上のようで参考にならない。

僕はそう感じていました。

こんな奴でも税理士になれて食べていけてるんだから自分も大丈夫。そう思っていただければと。