インボイスの登録番号が無いレシートは困るのか?
10月に入り、買い物をすると多くのお店でインボイスの登録番号があるレシートや領収書をいただくようになりました。
仕事柄、つい目がいってしまいます(笑)
10月に入る前は「インボイス登録した方が良いの?」という質問が多かったのですが、最近は「登録番号ないレシートなんだけど…」という質問に変わってきています。
では、受け取ったレシートや領収書がインボイス対応しているか否かで損得があるのでしょうか?
インボイス登録してないと消費税を取っちゃダメなのか?
これまで、消費税を納めない事業者(免税事業者)も消費税込みで売っていました。法律で禁止されているということも無かったので。
インボイス制度が始まった令和5年10月以降も、変わらず免税事業者が消費税を上乗せして請求することは消費税法においても禁止はされていません。
なので自分本位で考えてみると、これまで消費税を納めてなかった人(免税事業者)が無理に納める道を選んでインボイス登録をする。といったことは不要かなと。
- 顧客が消費者や免税事業者
- 買った物を経費にしない
- 取引先が簡易課税を選択している
- 取引先が2割特例で納得してくれている
このような場合でしたらインボイス番号が無くても問題ありませんので、従来どおり消費税を上乗せしていても大丈夫です。
むしろそれでとやかく言われた場合、とやかく言った側が法律違反になることもあります。
その支払いを経費にするか?
取引先が消費税を納める事業者(課税事業者)の場合はインボイス対応した領収書をほぼ求められます。
僕のような臆病者は「なんだよ!インボイス無いのかよ!損した!」などとは言えず心の中で残念がるくらいですが(実際は簡易課税なので気にしません)。
それが無いとその取引先は払ったはずの消費税が認められず、その分余計に納めなければいけないのです。
例えば、税込1,100円(10%)の買い物をしたとします。消費税額は100円です。
登録番号があれば100円をそのまま使います。
登録番号が無いと100円×80%=80円を使います(インボイス開始後3年間)。
登録番号の有無で20円の差が出ます。
つまり、インボイス登録番号が無いと負担が20円増えてしまう。ということです(取引先が原則課税で消費税の申告をしている場合)。
一回一回は少額でも、1年間積み重ねたら大きな金額になるということも考えられます。
こういった場合は何らかの交渉があり得ますが、強制的だったり取引先停止になったらそれは違法です。
一方で、先に述べたように顧客が経費にしない、簡易課税、2割特例といった具合でしたら何ら問題ありません。
おわりに
行く先々でインボイスに対する不満を耳にする一方で、もともと消費税を納めてる人からしたら「お客さんから預かってる税金なんだから納めなさいよ」と肯定的な言葉も聞きます。
まぁ、賛否両論ありますが、登録番号が無いとダメ、損、違反…などといったことはありませんので。
ただ、そもそもインボイスの交付の義務は課税事業者から求められた場合に生じます。
よって、一個人の消費者に対してはインボイスの交付義務はありません(もともと消費税を納めている事業者の方はあえてインボイスにしない理由はないでしょう。一個人の消費者のお客さんにも堂々と「ウチはインボイスきちんとやってます!」アピールをしましょう)。
なので、例えば10%の税込5,500円の物を売った場合に、インボイス番号の無いレシートを渡したとき、「あれ?インボイスじゃないのに消費税取るんか??」というクレームの温床にもなるでしょう。
そうなると、インボイス対応していないレシートを出す免税事業者の方は、余計なトラブルを避けるために値段の設定を考えてみた方が良いでしょう。
税込(のつもり)で5,500円としていたものを定価5,600円にする。とか。
インボイス制度が知れ渡って慣れてくると、軽減税率8%の時の「イートイン脱税」のように、いちいちとやかく言いたがる輩が出てくるもの。
そういったものに流されることなく対応したいものです。