値付けに正解はない
独立してから今もなお、困っていることが「値付け」です。
独立前はサラリーマンだったので自分で値をつけたことは無く、値上げも値下げも現状維持も全てボスの一声でした。
ただ、独立して3期目に突入してようやく自分なりの解が確立しつつあるような手応えを感じられるようになりました。
「相場」を気にしない
独立当初は都会や地方の諸々のエリアの税理士事務所のサイトをいくつも見て、この業界の「相場」を調べて平均値を自分の値段にしました。
そのほか、同業の所先輩方や仲間に参考までに値付けを聞くこともあります。
ただ、それを鵜呑みにして同じ金額にすることは今はありません。
だって人それぞれなので。
ターゲットをどうするか、どのような関与のしかたをするかで戦略はまちまちです。
安さ第一主義で薄利多売、とにかく量をこなすというやり方もあれば高価格帯で富裕層に特化するというやり方もあるでしょう。
回転寿司か個人の寿司屋か、同じ寿司屋でも違います。税理士だってそれと同じはずだと感じました。
周りを気にしない
同じ税理士でも「個人の新規開業は月1万円」でやっている人がいます。ネットやSNSでは「領収書丸投げで3万円」と言っているケースもありました。
そういった情報があってか、先日「是非お願いしたいです!3万円で良いんですよね?領収書送ります!」という何とも勇み足な問い合わせがありました。
へ?はて?何のことやら??
と唖然としました。
読めば中学生くらいなら分かるであろう単純かつ明快に「領収書丸投げの記帳代行は◯◯円から」、「上記のほか、申告書の作成・提出は3万円から」。「仕訳量が一月につき200仕訳を超えた分は1仕訳あたり50円」などといった具合に記載してあったのですが…おそらくちゃんと読んでいなかったのでしょう。
誤解されたということはこちらの記載のしかたにも問題があったということなのですぐ修正しました。
僕がお手本にしている先輩も値付けについては「2〜3万円で丸投げされて仕事を受けるかというと、受けません。経理の知識をもって領収書を仕訳し、税法を理解し、正確な確定申告書をスピーディーに作ることが数万円の価値しかないとは私は思えません」と仰っていました。
もっと言えば、たくさんのものを犠牲にしてきた代償でやっと手にした税理士という資格。「価値」や「値段」というのは、どんな商品やサービスであろうと代償に比例します。
回転寿司屋で皿を積めば積むほどお金を取られます。美容院でカットのほかにカラーやヘッドスパを追加すればするほどお金を取られます。
税理士だって仕訳が増えれば、申告内容が煩雑になれば、コンサルが増えれば…増えるほどお金がかかるのは至極当然です。
日本人は目に見えないモノにお金を払うことを嫌がる
と言いますが、いやはや迷惑な性分です。
値付けは自由。正解はない
「ネットで見た会計事務所は◯万円だった」
などという言葉は気にしません。自分のモチベーションを保てる金額を提示しています。安さを求めるのならそういう所に行けば良いだけです。寿司を一皿食べるのに所持金110円で個人の寿司屋に入りますか?ということです。
それで依頼がゼロならその時に見直せば良いわけです。
いわゆる「相場」に振り回されて望まない低価格で請け負ってもモチベーションが下がりますし、そのような状態で仕事をしていてはミスを犯してお客様に迷惑をかけるリスクも高まります。
良い仕事をしてお客様に満足していただけるためには、自身も豊かにならなければうまくいきません。ボランティアではなくて食べていくための稼業なので。
自身とそこで働く人が疲弊しないためにも、付和雷同せず、ちゃんと考えて値付けをしておきたいものです。