板挟みに遭ったらどうするか

関与先の幹部や株主が揉めていたら…

できることなら避けて通りたいものですが、会社という組織を診ていると、時に内輪揉めをしている会社に出くわします。

一族経営で親子仲が険悪になっていたり、役員同士が対立していたり、従業員が社長に無断でやりたい放題していたり…(全て体験してきました)。

税理士という立場にいると、両方の勢力から相談や愚痴がありますし、同意を求められます。

そのような場合はどうしたら良いのか。

あくまで法的に、常識的に

ここで一番危険なのは情に流されることかなと思います。都合よく大岡裁きというわけにもいかないかなと。

対立というのはお互いの正義のぶつかり合いです。各々自分こそ正しいと思っているので一歩も引かずぶつかり合うわけです。

会社内の揉め事で一番多いなと感じるのは、とにかく会社を維持していかなければならないという使命感と、それに対抗する正論派や改革派とのぶつかり合いです。

組織となると、そこに属する従業員の生活や株主への報告・配当などの責任があります。このコロナ禍の苦境に立たされて、どうにか知恵を絞って黒字を目指して存続を図らなければなりません。

そのためには黒(悪い事)は当然やってはいけませんが、グレーなものをいかに白に近付けるか。そういう判断も時に必要になるでしょう。

純白でなければいけないという潔癖症ではいられないこともあるかなと。

理想で腹は膨れません。

ここに対立の温床があるわけです。

会社を守るという正義と清く正しくあれという正義、どちらも正解です。

また、今の体制を維持する努力こそ大事という正義と新しいチャレンジをして変革しなければならないという正義、これもどちらも正解です。

そんな両社の間に立たされた時、困ります…。

報酬を得ている税理士という立場である以上、その会社に貢献しなければなりません。その貢献の対価としての報酬なので。

知恵を絞って、会社を強くするお手伝いをしなければいけません。

しかし、強くするといってもルールは守らなければいけません。

例えば、対銀行用に決算書をいじる(前職では「お化粧」などと言っていました)とか、度が過ぎる節税(租税回避行為)は御法度です。横行している持続化給付金の不正受給なんぞも論外です(それをやろうとしたのが原因でこちらから顧問契約を解除したこともあります)。

他にも、机上の空論でしかない改革、稚拙な理由からの改革についてはダメ出しをしなければなりません。

どっちつかずではいけませんし、両方につこうものなら疲れます。法令遵守の前提の上で、人情よりもやはり契約に沿って…ということになるかなと。

無料相談(当事務所は基本的に対応しておりません)ならお金を貰わないので、「無責任」という前提で「善意」として人情でお話しできることもあるかもしれませんが。ただ、税理士業として生きていく以上はボランティアでは食べていけません。無料相談ということでは到底責任は負えないので、あくまで独り言…とせざるを得ません。

人様の役に立つ人間でありたい。というのは10代の頃から言い続けており、それは今も変わっていません。とはいえ商売人となった今、報酬もなく責任を負うようではお金を払ってくれているお客さんに面目が立たないとも考えてしまいます。どこかで一線を引く事は大事かなと(御縁があれば変わってきたりもしますが…やはり難しいところです)。