事務所引き継ぎの算段
所長税理士が死去し、後継者がいない事務所をどうするか?
なかなか名案が浮かびません。
税理士の先輩や業界仲間、経営者など聞いて回っているのですが、第三者目線は冷ややかです。
「後継者を用意していない事務所の落ち度」、「お家断絶ということ」、「どこかに吸収してもらうしかない」
厳しいようですが正論だなと。
とはいえ、ご遺族の「親父が遺したお客さんも財産」という思いも分からなくもありません。
知人の知り合いにも同じような境遇の事務所があるそうです。
その事務所は他所から税理士に入ってもらい、存続しているそうです。
が、やはり無理を言って入ってもらったのと「所長税理士」というポジションであることから相応の報酬を払っており、遺族の台所事情は厳しいとのこと(税理士への給料日は700万円だそうです)。
体制と雇用の維持。
本来は所長税理士が亡くなる前にクリアしておくべき課題だったわけです。お客さんや従業員に迷惑をかけないために。
それをせず、他の税理士に頼むとなるとやはりこれくらいは最低限払うべき報酬でしょう。
と、例外なく言われました。
それができないなら、独立志向はあれど顧客ゼロで躊躇している税理士を探すか、他の会計事務所にスタッフ・客を全て吸収してもらうか。
それくらいしか無いだろう。と。
僕と同じ日に税理士登録した仲間はまだ20代で業界暦も浅く、これから…という時に所長税理士の父が急逝しました。
不幸中の幸いでお家断絶にはなりませんでしたが、税理士登録からわずか3ヶ月。そのような状態で多くの客と従業員を背負うことになりました。
その新米税理士は、早くに父を失った悲しみの中でも悩んで考えて、背伸びせず税理士を1人雇う決断をしたそうです。
跡継ぎがいてもこういうケースがあります。
跡継ぎがいないなら、やはり原則「お家断絶」となってしまうのでしょう。税理士がいなければ成り立たない業界です。
仮に他所から税理士が入ってくれたとしても、その税理士の名の事務所になるわけです。遺族に発言権はもはや皆無となってしまうのでしょう。
頭が変わるのだから、従業員もこれまで通りにはいきませんし、ウマが合わなければ肩を叩かれることもあるでしょう。
経営者たるもの、自分の身に何かあったらどうするのか?
もしもの事は決めておかなければいけません。
僕のようなひとり税理士、ひとり社長は尚更です。
僕は万一、自分の身に何かあったら…お願いする先は決めてあります。今のご時世、近場でなくても業務は出来ます。県内、県外両方で頼る先を想定してあります。