切磋琢磨できる仲間はいるか?

約二年ぶりに東京へ。「戦友」に会ってきました。

昔、「勉強とは孤独の作業だ」と担任の先生がよく言っていました。

群れるとおしゃべりに興じて集中できないということです。

僕もそう考えていて、受験時代はとにかく話しかけられるのが嫌でした。「見れば分かるだろ?勉強の邪魔をするな!」というオーラ全開だったものです(それでも声をかけてくる人はいましたが)。

そんなボッチ受験生をしていて、「ライバルがいた方が良い」などとアドバイスされたこともありましたが、僕の考えでは税理士受験生=敵です。

たった1点が合否を分ける競争試験なので。同じ科目を受験していたら本番では敵同士。学生時代あるあるの「いや〜全然勉強やってないよ」とか「自信ないな〜」などと腹の探り合いがあるものです。そういうのがめんどくさくて自分から「受験仲間」を作りに行くことはほとんどありませんでした。

違う世界で闘っている仲間がいたので。

東京で音楽をやっている仲間がいます。

出会いは偶然が重なったもので、10年前に静岡の大原の近くに等身大ガンダムが立っていて、そこでご当地ラーメンのイベントをやっていました。

勉強の息抜きにラーメンを食べにそこへ行ったところ、野外音楽ステージで演奏していたのが彼らでした。

その時はフライヤーを受け取っただけでしたが、当時受験5年目にしてやっと1科目合格といううだつの上がらない受験生だった僕はポツリポツリとしかいない観客の前でも生き生きと演奏していた二人を見て「俺より若いのに頑張ってるなぁ。夢があるなぁ」と感じて、応援の意を込めてCDを買ってあげました。

その時に「お互い頑張ろう!」みたいなメッセージを盤に書いてくれてあって、良い人たちだなぁ、ちゃんとライブで聴いてみたいなぁと感じて、その次のライブイベントに行ってみました。相模原市のショッピングセンターまで。

当時は結成間もない時で、各地のショッピングセンターや地方のイベントで名を売っていました。

そんな彼らに静岡からわざわざ相模原まで突然行ったものだからすごく喜んでくれて、以来行ける範囲のライブにはしばしば顔を出しました。

税理士試験で東京に行くと言えばその日に東京のライブハウスでライブを入れてくれたり、ライブ後に打ち上げをしたり、遠征から東京に帰る途中で静岡に寄ってくれたり…さらに僕が東京の会計事務所に内定を取った時は生活が落ち着くまではご実家の空いている部屋を使って良いと言ってくれたり、まさしくお互いが助け合ってきました。

そんな友がいたから、音楽と税金という全く畑違いでも闘っている仲間がいたから、どんなに嫌になった時でも「アイツらも頑張ってるんだから俺も頑張らないと!」と思えたものです。

これが同業者だったら…自分が落ちて相手が合格していたら…素直に喜べません。

違う世界の人とだから高め合っていけたのかなぁと。

いつの間にか出会って10年経ちましたが、とにかくお互い駆け抜けました。

彼らはライブハウスでチケットが完売するようになり、僕は晴れて税理士として独立し、やっと型を並べてられるようになったかなと。

昨日、コロナ以来約2年振りに再会できて、今回は受験生ではなく税理士として初めてのライブ参戦をしてきました。

聴けば聴くほど辛い受験時代の記憶が蘇りましたが、それすらも懐かしく思えるように昇華できている自分がいて、心から楽しめました。

そんな仲間に支えられて晴れて受験生活から脱出できた僕ですが、受験生の話を聞いていると、どうもひとりで抱え込んでいるなぁと感じることがあります。

勉強は孤独な作業なのでひとり集中してやるべきですが、気持ちがつらくなったら救いを求めても良いのになぁと思います。

勉強が好きな人ばかりではないでしょうし。

「自分だけが頑張ってる」と思うとつらくなるし傲慢にもなるもの。自分とは比べられない別の世界で頑張ってる仲間を作ると素直にテンション上がります。

仲間を作りたければ自分から話しかけてみること。税理士になってもコミュ障みたいな人がいますが、それでは客商売などできません。

苦楽を共にできる仲間というのは財産です。