資料を用意してくれないお客様をどうしたもんか。
今月、11月は9月決算法人の申告月です。
法人の決算というのは、3月に次いで多いのが9月。僕ら税理士にとっては繁忙期に含まれる月です。
関与の度合いやお客様のヤル気によって、毎月会計データをくれる人もいれば、3ヶ月ごとくれる人、年一回の人、様々です。
そして今回、初体験しているのが…
待てど暮らせど全く資料を用意してくれない人。
関与するようになって何度か訪問して会話を重ねていくうちに、そんな予感はしていました。なので7月頃から何度も念を押して、その都度「集めておきます」と色良い返事も受けていました。
しかし未だ全くそろえてくれていません。先週も警告したのですが…。
申告をナメると損をするのは納税者自身
申告期限までにきちんと申告・納税を済ませないと罰金がかかります。
期限を過ぎると無申告加算税が別途かかります。納付すべき税額の15%(納税額が50万円を超える部分は20%)です。これは国税に対してですが、同様に地方(県・市町村)に対しても無申告加算金が発生します。
遅れても早々に自主的に申告・納付を済ませれば温情がありますが。
他にも、期限までに納付をしなければ延滞税という利子のような罰金の税金が課されます。細かい説明は省きますが、年利7.3%を日割で。預貯金の利子と比べたらとんでもなく高い利率です。
こういったペナルティ以外にも、税理士の心象を損ねることに繋がりかねません。そうなったら追加の手間賃(お急ぎ便)が発生することもあるでしょう。
こんな事が続くと…顧問契約を税理士側から解除されることだってあり得ます。
とにかく良い事は何ひとつありません。
経営するということ
会社を経営するということは、商売をしてるだけで良いというわけにはいきません。サラリーマンではないので。
請求書や領収書の管理、入出金の管理、帳簿付け…お金の管理をきちんとしなければなりません。
自分でやれないから経理を雇うわけですが、中には「ひとり社長」でありながら経理を何もやっていない。というケースも実際にあります。
領収書は紛失、会社のお金とプライベートのお金を混同、役員報酬を定額にしない…そして何より税理士の指摘を聞かない。
これでは黒字になるわけありません。
僕は雇われ時代から常々「現金を合わせられないと絶対黒字にはなりませんよ」と言ってきています。これは経験からです。
こういうところには性格や人間性が出ていますので、ずさんな経理をしているけど品質は一級品!…とは考え難いでしょう。
「無いものは仕方ないので、適当に役員貸付金で合わせてください」と言われましたが、そんな決算書では金融機関にも説得力がないのでいざというときにお金を貸してもらえないでしょう。
税理士とはいえ、無を有にはできません。経理をやっているのが大前提で、有をもっと良い物にするのがこちらの仕事です。
帳簿は付けられなくても、せめて領収書はきちんとそろえておく。お金の動きくらいはExcelなどできちんと把握する。
それが会社というもので、経営者というものです。
おわりに
このように、申告期限が迫っているのに何度催促しても資料を頂けないケースは他所の税理士仲間からも聞きます。
ハラハラしながら最後は夜まで作業…となってはストレスです(それ故に追加報酬を請求するわけですが)。
お互いにとって良くありませんし、時にはこちらからの契約解除も必要でしょう。目先の売上に囚われてストレスの溜まる仕事をするよりも、自身のキャパを空けておいてそこに新たな関与先を入れるためのスペースにする。そんな決断もアリです。
お客様を選べるのは独立の特権です。