目標設定の妙

この週末は届くのを心待ちにしていた本を読んでいます。まだ途中までですが、さすが世界で闘った人の言葉。「闘う」という意味では税理士試験も同じだなと感じるところが多々ありました。

日本代表の主将であり、清水エスパルスのレジェンドでもある森岡隆三さんの著書。激アツです。

税理士試験の期間は「税理士」として生きていくための準備期間

今だからそう思えるのですが、受験生時代はとにかく一年でも早く合格したい、こんな受験地獄から早く解放されて遊びたい。そんなことばかり考えていました。

時にアドバイスで「その科目の合格を目標にするな。税理士としてバリバリ仕事している姿を目標にしろ」と言われたものですが。

要は、そういう目標設定をする事で、試験は単なる通過点でしかない。と。

そして税理士登録をした暁には、他人様の生活に「税金」という面で介入してより良い方向へ導くのだと。

そのための準備期間であると。

合格のための勉強ではなく、税理士になるための勉強をしろとも言われた事があります。

当時は目先の受験で精一杯で「税理士の勉強なら実務で体験していますけど?」と心の中で口ごたえしていたものですが、それでも「目標は合格ではなくて税理士」と切り替わったのはまさしく「目から鱗が落ちる」だと感じたものです。

良い結果が欲しければ良い準備をしなさい

中3の頃の担任の先生が口癖のように言っていた言葉で今でも覚えています。

覚えているということは、それなりに自分に言い聞かせてきたのかなと。

ただ、その割に合格できなかったのは、自分で良い準備と思っていたのが合格レベルに達していなかったということでしょう。

準備というのは、言い訳の材料となりうるものを排除していく、そのために考えうるすべてのことをこなしていくということ。

というイチローさんの言葉がありますが、まさにそれです。

僕が実際に合格できたときは、大原ではトップなのになぜ本試験だけ解けないのかを徹底的に自己分析しました。

例えば簿記論でしたら、この時期になると難しい模試とその解き直しばかりです。総合問題は全てを網羅しているものの、試験の作問者の専門分野に偏ったりもします。網羅しているようで実は漏れもある。

そして一番厄介なのは、解き直すという作業は一度すでに答えを見ているものにまた触れるので、解けて当然。それが「克服したつもり」になってしまうわけです。

それに気付いてからあえてこの時期に個別問題を60%、総合問題(解き直し)を40%という配分にしました。

そしたら個別問題で間違いを連発。勘違いして理解していたとか、テキストには確かに書いてあるけど触れる事が無かった分野などがたくさん見つかって、本番が解けなかったのはコレかと。

気付くのが遅過ぎましたが、その後は更に点数が上がって晴れて合格に至りました。

財表や税法の理論についても、ただ暗記しただけでは問題文を読んでどの理論を書けば良いのかが繋がらず苦労した時期がありましたが、暗記をする前にちゃんとテキストを読み込んで、条文の趣旨を理解する。暗記中も「これ、どういう意味だろう?」と疑問に思ったら即座に調べる(その場で解決しないと疑問に思ったことすら忘れる)ようにしたら、理論の定着力も増して、問題文が何を要求しているのかも解るようになりました。

こういったことの積み重ねで不安が消えていって「やるだけやった!かかって来い!」という良い緊張感に変えられたものです。

おわりに

税理士試験は年に一度のチャンスをモノにしなければなりませんので、緊張や不安が付き物です。

だから良い準備をする事でそれを払拭したいわけですが、その領域に達してないから不安になるわけです。

先日、ずいぶん久しぶりにある税理士受験生から不安を打ち明ける連絡を頂きましたが、話を聞いていると…思うところが多々ありました。

仕事のせい、家庭のせい、立場のせい…言い訳しようと思えばいくらでも出てくるのは僕も経験済みですが、結局のところ「自分のせい」です。

そういう時はメンタルを立て直すためにも目標設定に意識を向けてみましょう。

合格を目指している人と、その先を目指している人とでは日々の取り組む姿勢が違います。サッカーの全国大会で優勝をしたい高校生とプロ選手になってワールドカップで優勝したい高校生の違いがあるように。

サクッと合格できてしまう「デキる系」の人から見たら「何言ってんの?」と思うかもしれませんが、できない人間は…そういうデキる系の人たちと同じ土俵で勝たなきゃいけないから必死なのです。