税理士試験の結果を受けてから思ったこと

誰よりも多く受け取った簿記論の不合格通知…。出口の見えないトンネルは地獄の日々でした。

先日、税理士試験の合格発表がありました。

僕の周りでも合格した人、残念ながら不合格だった人、そもそも今年は受けなかった人…それぞれ報告を受けました。

税理士試験は上位10%しか合格できないものなのでどうしても「勝てば官軍」の要素はあります。

前職では受けてもいない人間に「どうだった?落ちた?」と言われたり、とある関与先に「あ、やっぱ落ちたんだ?」と言われたり…大原で常にトップクラスにランクインしていたので努力はしていたつもりです。

それでも結果が全て。落ちればこんなゴミのような扱いを受けました。今でも根に持っています(前者はクビになって後者は精神的に問題があることが判明しましたが)。

それはさておき、大原にいると合格者が半ば興奮気味で報告に来ますし、今はSNSでも#税理士試験 で合格通知がバシバシ投稿されているのが目に飛び込んできます。そういったのを悔しさ100%の眼差しで見ていたものです。

望む結果を出せず不甲斐ない自分に打ちひしがれているのに、周りの人から結果を聞かれ、その度に傷に塩を塗られるような、さらに心の傷をえぐられるような、そんな思いをさせられます。

僕は途中からめんどくさくなって「どうせ自分はバカなんで」と言って流していましたが。結局、そういう輩はチャレンジして失敗した人をバカにして悦に浸りたいだけなので、こちらからバカですよ宣言しておけば黙ります。

忘れないでほしいのは、どんなに難しい道を選んでも、そこで失敗しても、「目指す」という行為をした瞬間からゴールが生まれます。

あとはそこに向かってひたすら進むだけ。

当然、人それぞれ違いがあるので結果を出すのに早い遅いはあります。

費やした時間は二度と戻ってこないので、早く結果を出したほうが限りある人生の中においては有利ではありますが、早く合格することばかりが絶対ではありません。

とっとと試験を終わらせて大手監査法人に入って箔がついた頃に独立という華やかな道に憧れるのも分かりますが、税理士もサービス業ですし税の素人に寄り添うという意味では、いっぱい痛い思いをして、他人の痛みの分かる人であって欲しいなと思います。

不合格の悔しさや惨めさ、努力が報われない辛さ…そういうのを昇華することができるとそれが大きな財産になります。想定外の根性が身に付きます。

18年間毎年受験してきた身としては、この間の出口の見えないトンネルは苦痛、苦行でしかありませんでしたが、今思えばリニア新幹線の線路のようなものかなと。

スタートからゴールまでずっとトンネルで、それをひたすら掘り進めて、たまに落盤もあったりするような…合格通知を受け取った時だけ一瞬トンネルが切れて壮大な景色が見える。といった感じです。

受験生時代はそんな風に思う余裕は無くてただただ暗中模索でしたが、入ったが最後。引き返す事も立ち止まる事も許されない。進み続けるしかない。でないと今後なにをやっても辛くなったら逃げ出すような人間になり下がってしまう…そう自分に言い聞かせていたものです。

おわりに

勝てば官軍の税理士試験。

合格すればちやほやされて、落ちれば全否定されるもの。「頑張ったんですけどダメでした」は通用しません(せいぜい合格点-5くらいの範囲内でしょう)。

トントン拍子に合格する人もいますので、コツコツ型の人はなかなか肩身の狭い思いをすることがあります。

そこで陥りがちなのが、結果を出している人のやり方をマネするということと、功を焦って3科目手を出すということ。

人それぞれ性質が異なるので、夜型を朝型に変えようとしてもそこに相当の努力を要します。僕もトライしたことがありますが、起きることはできても脳がまだ眠くて二度寝してしまったり、勉強やるテンションにならなかったり…。

5時起きで7時まで勉強するよりも夜中の1〜2時まで勉強している方が僕には合っていました。

染みついた生活リズムを無理に変えることに努力のパワーを費やす必要はないかなと。

あと、サラリーマンを辞めて税理士を目指すなど、税理士受験初心者にありがちなのが一年目に3科目やろうとする人。

税理士試験のつらさを知らないので「一年でも早く」と意気込み過ぎて、結局勉強についていけなくなって共倒れ…と、お金と時間をドブに捨てるような事態に陥ってしまっている人を何人か見てきました。

働きながらの2科目はできますが、ニートで3科目は相当の精神力が必要です。何せ朝から晩まで勉強するだけの生活を自ら強いるので。

焦ってはいけない。でものんびりして良いわけではない。

という心掛けが重要です。

今回、残念ながら不合格だった方、クリスマスやお正月の予定はどうなっているでしょうか?

僕は落ちた年は正月も事務所にこもってブランクを取り戻す勉強をしていました。経験者とはいえ3〜4ヶ月放置していたのでF1のピットインによる遅れどころの話ではありません。

年明けからでいいや、正月は友達や家族とのんびり過ごそう。

そういう間にも努力を重ね続けている敵はいます。

要領よくトントン拍子で合格できないタイプの人間はとにかく泥臭く、居残り練習するかのようにコツコツと積み上げていくしかありません。

税理士試験は今なお「根性」の世界です。

今でこそ税理士として独立開業していますが、20〜30代という貴重な時代をほぼ受験だけで終わってしまった僕の、取り返しのつかない教訓です(や、そんなんだからお前は18年もかかってんだよ!と思われる方もいるかと思いますが、あくまで僕の中での経験論なので悪しからず)。

やはり受験期間は5〜6年で終わらせたいものです…。