事務所のブラックorホワイトで人生が変わる
解釈には人それぞれ違いがあります。
そのひとつに税理士登録→独立という流れ。
当初、「独立!やったね!」という声よりも「え?今のご時世に独立?」という声が圧倒的多数でした。
前職で担当していたお客さんを引っ張っていければ最初から売上はありますが、前の事務所からお客さんを奪ったとドンパチやりあうことになって…支部も同じだから角が立つ。ということや、そもそも顧客ゼロスタートで出だしから食べていけないなど、生々しい現実が待っているとネガティブなアドバイスを受けました。
一方で、せっかく税理士になったんだから、大手監査法人に行けば箔が付くというポジティブ?なアドバイスも受けました。
いずれにせよ「独立は勧めない」ということです。
それでも僕は独立一択でした。
それは、この業界に入ってからの暗い過去、黒歴史に起因しています。
え?と自分の目と耳のみならず、五感すべてを疑うようなことばかりで、人間嫌いになったり税理士になること自体が嫌になりかけました。
自分ならこうする、こうやったらもっと良いのでは?という意見は全て握り潰され、いつまでも昭和脳の旧態依然とした、無駄に時間を費やすことばかりやらされていました(ボスやお局様たちがパソコンに疎いのでe-Tax禁止、メールでのデータのやりとり禁止、クラウドなんてそもそも知らない…など)。
こういった不思議な環境だったので「独立」に対する強い憧れがブレなかったというのもあります。
もし、ホワイト事務所に出会えていたら、もっとスキルも上がっていたでしょうし、税理士になった後もずっとそこに勤めていたかもしれません。
僕のことなので恵まれた環境では腑抜けになって今なお受験していたかもしれませんが。
ともあれ、そういった縛りから逃れるために独立という選択と人を雇わないという選択に至ったわけです。
そもそも、何をもってホワイト事務所とするかは人それぞれですし。給料が良いのか、受験に理解があるのか、育成が充実しているのか、などなどあるでしょう。
とはいえ、僕はそういう事務所と出会えなかったということ、理不尽なことには上司であっても楯突くという難アリな性格、それゆえに体感し続けたストレスを糧にして、反面教師にして、とにかく現状を変えたい、自分の思うやり方で仕事をしたい、そういう強い意志が育まれてそれがエネルギーとなって、どんなに不合格を重ねようと諦めずに税理士になることができました。
おわりに
どんな事務所に所属するかによって時に税理士がイヤになることがあるかも知れません。前職の事務所に入ったばかりの頃、デタラメなお局様に絵に描いたような洗礼を受け続け、爆発したことがあります(そのお局様は後にクビになりましたが)。
同じ税法、同じ簿記でありながら、税理士が変わるとやり方が全く異なりますし、環境も千差万別です。
そんな世界でやっていくには日頃から「税理士になった先」を明確にイメージしておくことが大事です。
そこで片腕として腕を振るうのか、独立するのか、はたまた移籍するのか、それによって今の在り方が見えてくるものです。
少なくとも独立して「雇わず・雇われず」になれば自由があります。思い描く税理士像を手に入れられます。
もちろんその「自由」には、楽しむ自由と苦しむ自由が混在しておりますが。
自分の力で稼いでいかなくてはならないので、軌道に乗るまでは支払いにハラハラする時もありますし、自分が病気や怪我で入院してしまった場合の対策もしておかなければなりませんので、そういった「リスクに晒される自由」もあるわけです。
それが嫌なら雇われ税理士としてやっていけば良いわけですが、そのリスクがあったとしても独立は良いものです。
独立したおかげで税理士が嫌にならず、この稼業を頑張り通す決意が固まりました。
慢性的な人手不足の世界なので、今いる事務所に縛られる必要はありません。
僕は無資格の頃は「辞めるほどの実力も無いから…」と結局15年も在籍しましたが、今思えばとっとと移籍して、人材育成がちゃんとしている事務所を探し続ければ良かったなと思うこともあります(そうしたとして、独立できていたかは謎ですが)。
兎にも角にも「税理士になった後、どうしたいか」を明確に思い描くことが重要です。今いる事務所に生殺与奪の権を握らせてはいけません。一度切りの人生なので。