院免で税理士になる道

税理士になるためには、ざっくり官報合格(5科目試験に合格する)と院免(修士論文の審査が通れば会計1科目or税法2科目が免除される)があります。

聞くところによると、近頃は院免で税理士になる人がずいぶん増えているそうです。

上位10%しか合格できない国家試験を大学院に2年通えば税法なら2科目(かつては3科目)免除してもらえるのだから、精神的にも時間的にも金銭的にも良いといったところでしょう。

僕も最初は官報合格を目指していたので所得税には合格していましたが(それしか選択肢が無いと思ってた)、縁あって働きながら通える大学院があることを教えてもらい、運良く入試に合格した後、無事に修士論文の審査も突破できたので今税理士として働いています。

大学院は甘くない

「院免」を悪く言う官報合格者は実はそこそこいます。

現実を知らない事と5科目合格したプライドからだと思います。大事なのは「税理士としてどうなのか」だと思うのですが。

大学院は決して楽ではありません。

税法なら2科目も免除してくれる。ということは相応のものを求められるということです。

まず入試に合格しなければなりません。実際にここで落ちている人がいました。

たとえ入学できたとしても単位を取らなければ卒業できません。税理士とは関係のない領域の勉強もしなければなりません。毎週いくつものレポートやレジュメを作る日々です。

さらに大学院なので大学四年間の知識がある前提で講義が進みます。

県内トップの国立大学の経済学部の大学院でしたが、文系出身の僕には経済数学が本当に苦痛でした…。他にも全て英語の会計学とか(さすがにギブアップしました)。

これらを乗り越えてやっと単位がもらえるわけです。そこに修士論文の研究が加わります。

まずは自分がどの税法で論文を書くか、その税法のどの部分に問題提起をするか、その問題についてどんな先行研究がされているのか、海外ではどうなのか、じゃあその問題をどのように解決したら良いのか。

こうして論文を組み立ていくのですが、参考文献を探す手間も大変なものです。ここをしっかりしておかないと、自分が書いたことがすでに先行研究で発表されていることだったら剽窃(パクり)で一発アウトです。

どうにかこうにか形にできてもそれが教授に認められなければ、国税庁に提出どころか卒業ができません。

口頭試問といって数人の教授の前で自らの論文についてプレゼンをして、ダメ出しの集中砲火を浴びます(博士号を持つ教授陣からみたら修士論文なんて些末なもの)。

ここをパスできなければ留年になりますし、仮に卒業できても「卒業=免除確定」ではありません

国税庁の審査で落ちた人もいます。

一度落ちたらその修士論文はもう使えません。

そのため、卒業はしたけれどまだ一部科目合格していなくて論文を提出できない人は、卒業後も論文を手直ししているというケースもあります。

国家試験ならその勉強が仕事に生きますが、大学院の授業はそうではないことの方が多いです。僕は当時、フルタイムで働きながら大学院に通い、税理士試験も受けていたという3足のわらじを履いている状態だったので、会計事務所の仕事にあまり関係のない分野の講義は苦痛でした。ましてやオール英語の会計学とか記号だらけの経済学数学とか…。

官報>院免ではない

税理士になったらなったでその世界で格差をつけたがる人間がいます。

実際小馬鹿にしてきた謎の上から目線税理士もいましたし、ホームページに「私は院免税理士ではありません!」とアピールしている税理士、ご大層に合格科目を名刺に書いてある税理士もいました。それしかアピールできないのかと。

お客さんから見たら、仕事をしっかりしてくれたら税理士になるまでの経緯なんかどうでもいいはずです。

合格した科目の試験を解いてみて?と言っても今となっては受験生には遠く及ばないでしょう。僕だって18年もやり続けた簿記論、ちょうど今の時期の答練は平均点も危ういでしょう。

そんなものです。

チャンスがあるなら院免の方が良い

僕はずっと官報合格のつもりで勉強し続けていました。

まさか静岡にそんな大学があるとは思わず、県外の私立の大学院は授業料が100万単位…とても捻出できません。地方ではそもそも無理だと思っていたので選択肢がありませんでした。

それが人づてで市内に国立で学費も安い所があると知り、急遽受験勉を始めて運良く合格できました。

入学後は四大から上がってきた子たちや遥かに年上の方、留学生、税理士とは関係無い世界の人…さまざまな境遇の人たちと一緒に講義を受けます。税理士を目指しながら視野がとても広がります。

一方で黙々と官報合格を狙ってる毎日は閉鎖的で、同じ教室にいるということはつまり敵。直前期になると発狂する人も出たりして勝てば官軍100%のカオスな世界です。

大原で知り合った人で今も続いている人は一人しかいませんが、大学院で知り合った人とは何人も継続して付き合いがあります。

あくまで個人的には、ですが、大学院では科目免除のほかにもたくさん得たものがありますので、税理士を目指している人には機会があるのなら院免という選択をおすすめします。

おわりに

以前、「院免の通知は一年を覚悟しろ」というブログを書きました。

僕は2019年3月に卒業して、卒業式の日に論文を提出しました。

その後待てど暮らせど通知が来ず、審査請求までして2020年2月にやっと通知が届きました。

一年早く卒業した先輩は卒業直後に提出して、その年の12月。その前の人はその年の秋。年々遅くなっていたのですが、2020年卒業の人は早かったようです。

僕の年は安倍元総理がらみで国税庁長官だった佐川理財局長の問題もあったので…その辺でゴタゴタしていたのかなぁと。今となってはそう思う次第です。

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