逆ヴィンテージという楽しみ方
何かにつけて「ヴィンテージ」とか「アンティーク」というものは高価です。
長い年月を経て失われたものも多く、故に希少価値があるわけです。生まれた時から今日までの時間が価値となっているモノということです。
一方で、その逆。今日から未来に向けて価値を付けていくモノもあります。
このスニーカーはその象徴とも言えるものです。
デザインしたのは高校の先輩。この方は藤枝市で小さなお店を営んでいるのですが、プーマのドイツ本社にデカデカと写真が掲げられるほどの御仁。
そんなお人が「藤枝ロマン第3章」として、昔存在した”Olympic”という幻のモデルのカラーリングを東京オリンピックが開催されるのを機に、忠実に再現して発売しました(コロナの影響によるズレも生じてしまいましたが)。
この一足が発売されるまでのストーリーや拘りは筆舌に尽くしがたいので僕なんぞでは語れません。それほどの一足です。
こういうプロダクトが今日から未来に向けて価値を付けていくもの、いわば「逆ヴィンテージ」なのだと思います。
売上だけに走らない姿勢
結果として即完売でしたが、当初先輩は「売れ残ってもいい」と仰っていました。日本人はこういうマルチカラーのものを敬遠する傾向があるのだそう(僕は大好きですが)。
この一足を発表するまでに長い時間をかけて伏線を張り巡らせ、この先もまだまだストーリーは続きます。
だからこそ、それが分かる人にだけ手にして欲しいと。もし売れ残ってもすべて自分の手元に置いておきたいほどの思い入れがあると仰っていました。
ただ流行りのモデルやカラーの物を仕入れて売る。のではなく、常に何かをしかけようとしている姿勢に憧れを感じます。こうして唯一無二になったんだなぁと。
経歴ではなく未来への積み重ねが大事
どの業界でも「業界歴◯年」とか「◯◯大学卒」などといった経歴が信用に繋がっているのが人間の社会です。僕自身も会計の世界には20年近く身を置いていますが、独立してからはまだ2年。そういったところで下に見られたこともあります。
独立したて。という今だからこそ、自分が還暦越える頃にはヴィンテージとしての付加価値を持てているようになるため、今からその時までの時間で価値を付けて行かなければなぁと。物売りの仕事ではないので、僕自身が「逆ヴィンテージ」となっていかなければ…と、今回のこの一足を手に入れるまでの先輩から聞いた熱意に圧倒され、思い知らされました。
おわりに
今は統合されて無くなった母校。決して優秀ではない、地域で4番手くらいのレベルの高校でしたが、約20年くらいの歴史の中で一番有名な卒業生から「あの高校から税理士が出るなんてすごいね。頑張ったね」と言って先輩なのに敬語を使ってくれる(ちょっとカユくなりますが)、そんなお人柄の先輩は経営者としても先輩であり学ぶところ大です。
僕はPUMAはこの先輩から買いたいと思っているので、先輩の店で完売したら他所で在庫があってもほとんど買いません。
そう思わせる魅力があります(初対面の時は怖い人かと思いましたが)。僕もそういうふうに思ってもらえてるだろうか?「他にアテが無いから田中でいいや」なんて思われていないだろうか?
独立してから常にそう考えるようになりました。
代わりの税理士なんていくらでもいるので。
「田中で良かった」と言ってもらえるよう、もっともっと励まないとです。