値段設定をどうしたもんか。
独立した時に一番考えたのは値段設定です。
税理士の値段に相場と呼べるものはなく、薄利多売なところから高額設定のところまで千差万別です。
安くした方がお客さんを呼び込めるかも知れませんが、安さに走ると自滅するでしょう。
やってもやっても手元にお金が残らない。あれ?税理士って金持ちになれるんじゃなかったっけ?とならないようにしたいものです。人並外れた苦労の末に勝ち取った資格ですから報われたい。そう思っても良いはずです。
悩ましいのは他所の税理士から移ってきたお客様。
ご縁あって新規契約の話を頂けるのは嬉しいものです。
ただ、そこで注意しておきたいことがあります。
「前の税理士さんは◯◯円でやってくれた」
ここでブレないように。他所は他所、ウチはウチ。しっかり芯を通しておきましょう。
その場では顧客獲得の嬉しさについ「前の税理士の金額で良いですよ」と言ってしまうことがあります(僕がそれをやらかしました)。
ところが、いざ蓋を開けてみたら領収書からの入力だったり、他所の税理士というのがパート等を多く抱えて薄利多売でやっていた事務所だったり…僕の設定していた料金表の半分でした。
嗚呼、やってしまった…と。今もデスクにドサッと紙が山積しています。
自分の意にそぐわない価格で仕事をしているとテンションが下がります。同時にクオリティも下がります。
一杯1,000円でラーメン屋を始めたところ、「隣の店は500円だったぞ!」と言われても「は?」ですよね。ところが、税理士の世界は「じゃあウチも500円で良いです…」と言ってしまう人がいます(僕です)。
商売人として失格です。
「500円でも良いけど麺ナシな!」って言い返せる強さは大切です。例えば、当事務所指定の会計ソフトを入れてもらう、訪問ではなくzoomでやる、記帳代行はやらない、そういった条件付きで。と、交換条件を提示しましょう。
目先の売上にすぐ釣られてはいけません。冷静に見極めるべきです。
うかつに引き受けて忙しくなったところに理想としていたお客様が来たけどとても手に負えない…それは勿体無さすぎます。
僕は実際に一度経験して懲りたので、ひとり税理士のお手本である井ノ上先生のマネをして「やらないことリスト」を作っています。
安請け合いしない、記帳代行しない、給与計算しない、不正受給に加担しない、土日に仕事しない…などなど。
時折り見返してはブレないようにしています。
実際、「田中に見てほしい」という大変有難いお話をいただきましたが、その方は夜でも土日でも電話がかかってきますし、給与計算から納付書の作成、領収書の丸投げ、毎回取りに来て欲しい、それでいて僕の料金表の半値以下。
目先の売上は魅力的ですが、僕の決めた方針からはあまりにもズレています。なので丁重にお断りしなければなりません。
人を雇っていれば部下に任せてしまえば良いわけですが、僕には部下などいません。
そういう時のSTREAMEDですが、領収書は許せても他がやはりズレてしまっているのでお受けするわけにはいきません。
頑なですが、そうしなければひとりではやっていけないので。