青色申告会の無料相談会にて

相続2件と譲渡1件の相談を受けました

「争続」が実は多いのか?

この時期の無料相談会は初めてです。所得税の確定申告シーズンではないので相談者なんているのかな?と思っていたのですが、相続税の相談が2件、所得税の相談が1件、予約がはいっているとの事でした。

相続税は他所に回してしまうスタンスなので、今日に備えて復習して臨んだのですが…。

相談者のお二人とも相続税の話に入る前の問題。誰が何を相続するのかでもめていました。

過去の相続で先んじて有利な遺言を書かせて問題を起こした相続人が今回も実の母の家を売ろうと勝手に鑑定してみたり、自宅以外に財産が無いからと30年親の介護をし続けて親名義の家を自腹で修繕もした長兄を家から追い出して売って得たお金をよこせなど、外に出ていった身内ほど「棚ぼた」「不労収入」を是が非でも得ようと自分の利益最優先で勝手な事をしているのだとか。

他にも、母親が痴呆になったとでっちあげて後見人になろうと画策しているとか、法律事務所に勤めていた経歴を利用してそこの弁護士を味方につけているとか、おそるべき執念です。

どちらの相談者も分けるほどの財産も無い、ごくごく一般的なご家庭の方です。親の介護などの功労を無視して分け前をよこせなどとよく言えるなと。介護費用も長兄にすべて負担させておいて。

「自分の老後のための保険を解約して払うしか…」と仰るので「そんな必要はない」と強くお止めしたところ、涙ぐんで「元気が出ました」と言っていただきました。

欠格事由や排除事由には当たらないかも知れませんが、名誉を傷つけられているようですし寄与分も勘案されるべきです。

遺言を用意出来なかったことが致命傷に

今回の相談者はどちらも被相続人の遺言がありませんでした。

コロナで肺炎を起こし面会できぬまま急死してしまったなど、「まさか」が起こってしまったというケースでした。

そのために何の寄与もない相続人でも法定相続分を権利として主張してきているわけです。ちゃっかり弁護士まで用意して。

面倒ごとをすべて押し付けておきながら貰えるものは貰うという魂胆が僕は嫌いです。

裁判になればある程度戦える要素もあるかも知れませんが、裁判に委ねるような事態は回避したいものです。元気なうちは気にしないものですが、やはり「終活」は大事ではないかなと。

2件の相談の2件ともが「争続」の状態でしたので、世の中で見てみると多いのかなと。事業をしていて日頃から税理士が関与していれば相談もできますが、そうでなければ後手後手、事後的になってしまうのでしょう。そこに致命傷となるリスクが潜んでいるので、やはり元気なうちから準備をしておくことをおすすめします。

土地は共有にしない

個人的見解ですが、分けるほどの財産が無いからといって実家を共有名義にするのはオススメしません。

たとえ家族仲が良かったとしても。

共有にしてしまうとそれぞれが思うように使えなくなります。それでも家族仲が良くて全会一致になるなら良いですが、長男は売りたい、次男は貸したい、三男はガレージを建てさせて欲しい…などお金が絡むと意見が食い違うものです。

結果、誰も特することなく遺恨だけが燻り続ける…ということも。

おわりに

財産の多少に関わらず、遺産相続はもめる事が多いようです。

相続のせいで兄弟間が絶縁してしまったというケースを複数人見てきました。

目先の自分の利益を優先したい気持ちも分かりますが、法定相続分を主張する前に自分が相続人として相応しいことをしてきたか、面倒ごとを他の兄弟に押し付けていなかったか、日頃から親孝行してきたか、法治国家といえどまず人としてきちんとする。

税理士であって弁護士ではないので大してお役に立てませんでしたが、自分の都合しか考えない人間に良い思いをしてほしくないなと。