無料相談で感じたこと
コロナ禍における無料相談会
今年の確定申告の期間はコロナの延長もあって2月16日〜4月15日までです。
まだ期間前ですが、インターネットでの電子申告(e-Tax)はすでに始まっており、その無料相談会も始まっています。
「無料」という言葉に釣られて多くの人が来ると思われますが、密を避けるために事前予約制です。また「無料」ゆえに対応できる範囲は限定されています。お一人あたり45分という制限時間の中でやるので、株や土地の譲渡は対応しませんし、事業をされている方も小規模かつきちんと経理されている方に限られます。
今日、無料相談会の当番として初参加しました。そのときの感想です。
ほとんどが給与、年金、医療費控除
今日は9:30〜16:00で昼休憩が1時間。7件の案件を処理しました。
2箇所給与の方、給与と年金の方、年金と非上場株の配当金の方、法人役員→個人成りの方です。
事前予約制なのと期間前ということもありあまりお待たせすることもなくスムーズに進みましたが、気になったことも…。
税理士の責任か、納税者の責任か
この中で法人役員→個人成りのご夫婦の方のみ、不備があって申告はできず相談のみ。後日出直しということになりました。
法人時代には税理士が付いていたようなのですが、個人事業主になってからは税理士が付いてないということでした。
は?
というのが率直な感想です。
事情は聞きませんでしたが、法人→個人となると顧問料が低くなるから税理士が断った。または税理士の手数料が高いから払えないのどちらかかなと。
個人になったら顧問税理士に見放された…というのは初耳です。
税理士が付いていた割に個人成り後の経理がずぶの素人のそれで、仕入の合計よりも在庫の方が多いという奇妙な帳簿(一枚の紙に書いてあるだけ)的なものでした。
法人時代の仕入、売上も月合計が書いてあるだけでしたが、どうやら在庫を売価で書いてある(売るものだから売価だと)、それを個人で引き継いでいてさらに個人としての年末在庫も売価で書いてあるということが判明しました。
前の税理士が「仕入れ値×1.5=売価」とするようにと言っていたというのですが、在庫を売価にしてもおかしい…よくよく聞いてみると実は家でも使っているということでした。
個人商店の場合、商品をプライベートで消費することもあります。その場合は「家事消費売上」として収入計上します。
こういったことは教えてあげないと分からない事です。
家事消費どころか在庫を売価で計上(というよりメモ書き)している上に「前の税理士が10万円引けるというから青色申告にしてます」と。
今は青色申告でない(いわゆる白色申告)場合であっても帳簿は付けなければなりません。
税理士が付いていたのにそういう意識も無い。なのに顧問契約も解除している。これはいささか無責任ではないかなと。
僕は前職の時から担当しているお客さんには記帳指導をします。その方がお客さんも数字を読めるようになりますし、そうなればこちらの手間も省けます。
会計ソフトは使えずとも帳簿は書ける。在庫の管理はできる。それくらいは達成できています。
そういう事すら出来ずに経営をさせている税理士ってどうなの?と。法人時代を見ておきながら。
というのが対税理士に対する感想です(詳細を知らないので経験と偏見に基づいて口走っています)。
一方で、納税者側に対して思う事も…。
今日のホリエモンこと堀江貴文氏のメールマガジンで僕が思ってた事と同じ事を言っていたのですが、
「税理士費用を払えないくらいの商売はやる意味ない」
というもの。
そもそも税理士費用は経費として計上可能です。年イチの関与でシンプルなものなら数万円でやってくれます。
領収証の整理や日々の記帳、そして決算、申告。そんな面倒くさい作業を文句を言いながらずっと続けるのはストレスですしケチとも言えます。
このような苦行をルーティーン化していることに安心しているフシがあるとホリエモンは言っています。
要は「お金の使い方」です。
今日も無料相談会の当番同士で話題になりましたが、「税理士費用をケチる人ほど経理ができていない」というのは僕以外のベテラン税理士でも言っていました。
確かに僕をコキ使ってくれるお客さんは相応の報酬を払ってくれますし、その分経理もしっかり出来るスキルが備わっています。
すると自ずと財務諸表を見る力が付いていますので、踏み込んだ話ができます。コロナ禍の煽りを受けたのに前期よりも売上、利益共に増えていました。
お金について、何にケチッて何に投資するかは人それぞれですが、「お金の使い方」「お金の生み出し方」というのが分からなかったり抵抗がある人が多いんだなぁと改めて感じた無料相談会でした。