お客様第一主義の裏に…
今、新しくスタッフを雇いたい税理士と会計事務所で働きたい新卒の若者を繋げる仕事をしています。
仕事と言っても相変わらず無償ですが(お金取っても良いんじゃないかってくらい丁寧にやってます)。
先にも述べましたが、会計事務所業界は不人気です。
- 給料が安い(相続やったり保険を売らないと給料上がらない)
- 残業が当たり前(考え方が古過ぎる)
- 税理士試験に理解がない(自分の時がそうだったから…という仕打ち)
- 無資格のベテランがうるさい(都合の良い実力主義)
仲間や後輩の話を聞いているとこういう所が多いように見受けられます。
しかも「お客様第一主義」を掲げる所ほどスタッフを大事にしません。
さらにどんなに小さかろうと会計ソフトを導入させたり、「節税」という甘いフレーズで保険やリースをやらせます(家まで売るところも…)。社長は本当に理解しているのでしょうか…?
僕はひねくれているので、どうも税理士に都合の良い「お客様第一主義」に見えてしまいます。
「お客様第一主義」なんだから残業してでもやれ!
「お客様第一主義」でやってます!これは御社の為を思っての提案です!
みたいな。
月3〜5万円の顧問料のお客さんの所に高級車で乗り付ける姿は個人的にはどうかなと。
特にコロナ禍で大変な今はイヤミでしょう。お客さんがどんなに大変でも一切値下げしないという話も耳にします。
そりゃあ高級車買えるわなと(中には「ウチに来るならみすぼらしい格好で来るな」というバブリーな経営者もいるらしいですが)。
お客様第一主義≠搾取 のはずです。
ましてや身内に優しくない税理士がお客さんに優しくできるのでしょうか(キャバ嬢がお金のために優しく接してくれるような所でしょうか)。
人は城、人は石垣、人は堀、情けは見方、仇は敵なり。
500年近く経っても知名度が高い武田信玄の言葉です。
- 定時帰宅(従業員との約束だったはずです)
- 残業代や福利厚生など払うものは払う(奴隷ではありません)
- 勉強しやすい空気を作る(志の有無は格差です。ヤル気ある人を蔑ろにするといずれお客さんを持ってかれます)
- 贅沢はプライベートだけでいい(そんなに儲けてるなら値引きしてよと言われるのがオチです)
- お客さん側に会計ソフトなんて無くてもいい(クラウド化するなど、あくまでお客さん側のニーズを斟酌してあげるのがサービス業)。
これを「絵空事だ」「出来るわけがない」と感じたら先は短いでしょう。
今、世の中は武士が不要となった明治維新のような大きなインパクトの入り口にいます。
過渡期なので実感が湧かないのでしょうが、そういう人は実感した頃には遅れをとることになるでしょう。
「時代に取り残される」とはそういう事で、そういう人間が「老害」と呼ばれるようになるよでしょう。
実感が湧かないから動きようが無いのかもしれませんが、常に5年後、10年後のシナリオをいくつか考えておくこと(最悪、普通、最良の3つくらい)が重要です。
未来を先取りして動くので、足を引っ張る人間や嘲笑う人間が出てくるでしょうが見ている物が違う人間なので気にしてはいけません。
吉野家の牛丼が最高!という人と松阪牛最高!という人とでは噛み合わないでしょう。
牛丼が最高なら、楽しく牛丼を食べに行ける仲間と雰囲気を作って、牛丼の未来を考える。
松阪牛が最高なら、一緒に松阪牛を食べに行ける仲間を作って、松阪牛の未来を考える。
松阪牛を知って「吉牛?あんなのダメだよ」などと言っているようではいずれ高転びするでしょう。
松阪牛を知って、吉牛との差を見て、何かできることはないか。という建設的な考え方ができることが大事です。
会計事務所に話を聞く戻せば、お客さんやスタッフの現状を見て、末長く顧問契約を継続してもらえるよう、自分の下でスキルを上げて最後まで右腕になってもらえるよう、そういう考え方で動けたら自ずと人が集まるのではないでしょうか。
「自分からのお客様第一主義」なのか、
「お客様第一主義からの自分」なのか、
「先生!先生!」と呼ばれ続けるうちに自分の置き場所を間違ってしまっている人が多いなぁと感じます。
税理士も接客業、サービス業です。「先生業」ではありません。
そこんとこ、よろしく!