節税を発信する無資格者等に対するモヤモヤ

税理士ではない人間がSNSなどで脱税(本人は節税のつもり)の指南をしているのを時々目にします。

そういう情報を持って来られる単発の相談者もいます(あえて「お客様」とは言いません)。

税金は少しでも安くしたい。

その気持ちは僕も同じですが、だからと言って日々の生活費や遊興費、車の費用まで経費で落として良いわけではありません。

「節税」とは私的な支払を経費にする事ではなく、小規模企業共済の掛金などを払って将来的に備えつつ税金も安くする。といったものです。

なのに、再生数を稼ぐために大袈裟に煽る動画に釣られて「YouTubeで出来るって言ってた!」と、税理士よりもその発信者を信用して来られる方がほとんどです。

「悪いものは悪い」と言うと「節税提案をしないポンコツ税理士」と変換されるようなので、この類の依頼は全てお断りするようにしています。

だったら出来ると言った人に依頼しろと。

中には「税理士YouTuber」として租税回避行為を促している人間もいますので、その人にお願いしたらよろしいかと。

ただ、リスクがあるから「合法的」とか「ホワイト」とか自ら言っているのだと頭の片隅に入れておきましょう。

確実に合法、ホワイトならいちいち宣言しません。ヤバいから言ってるわけで、闇バイトの勧誘でホワイト案件と書いてるのと同じです。

税理士が書いてますが危険な内容でした。

この本の著者も200件全てギリギリを攻めていたのか、200勝0敗だったのかは分かりません。

(書かれてるかも知れないけど早々に読む価値が無いと判断して読むのをやめました)

たまたま立ち会った調査が指摘されなかっただけかも知れないし、日頃の経理の状況やその時の調査官のさじ加減、調査時の対応などでブラック(アウト)になり得るということです。

だから「ギリギリ」「グレー」「合法的」と濁して言い切らず責任逃れをしていると取れます。

僕が経験した調査では是認でしたが、領収書を全てチェックし、社長やその奥様、従業員にも聞き取り調査をしました。

自身に都合の良い部分だけを切り取ってしまう方はフリーランスやスモールビジネスの方に多く、顧問契約ではなく年に一度の単発がほとんど。

料金も数万円〜20万円弱といったところ。

その程度のはした金(あえてそう言います)のために命懸けで掴んだ「税理士」という資格を賭けたりしません。一番不人気の馬に全財産を賭けるような人はいないのと同じです。

ざっくり「OKな経費」とは?

個人事業主は仕事とプライベートの線引きが曖昧です。

自家用車で得意先回りをする事もあれば、屋号をプリントした社用車で家族の送迎をする事もあるでしょう。

そうなるとガソリン代や保険代、自動車税などを全額経費にしたら脱税です。

仕事とプライベートの利用割合で按分し、仕事分のみを経費で落とします。

株式会社や合同会社を作って法人化したから全部会社の経費で良いよねと言う人もいますが、そうでもありません。

明らかに私的利用だと判断されるものは社長の給料とされます(社長が会社から臨時の給料をもらって、その金で払った。という感じ)。

この場合、会社の経費と認めない社長の給料となるため、会社の法人税と社長の所得税なども増える事になるので、節税どころか増税です。

税理士でもなく、どんな根拠で税金対策を発信しているのかも分からない人間の言葉を鵜呑みにしてしまうのは、例えるなら医者じゃない人に病気やケガの相談をして信じてしまうのと同じです。

おわりに

税理士によっていくばくかの見解の相違はあると思いますが「捕まるよ?マジで。」ってのを見かけたので思うところを書いてみました。

無資格者の場合はタダで教えてもニセ税理士で摘発させます(無償独占なので)。

無資格者はもちろん、税理士でさえ危険な発信をしている輩がいます。

税理士は節税を提案しても脱税は提案するわけがありません。

業務禁止=資格剥奪されます。

どうしてもYouTubeが良いのでしたら「ヒロ税理士」をお勧めします。僕も好きで尊敬している先生の1人です。