とある1/150,000の純情な税理士の厳しめな話
連日確定申告の依頼を受けておりまして、ありがたいことに2月13日時点で過去最高件数を更新しております。
ここのところ増えてきたご依頼で気になっているのが「何もやっていなくて焦ってる」、「開業1年目で何も分からない」というもの。
一人や二人ではなくて、こういったお問い合わせの方が多い状況です。
なぜ今?
大きな決断をして独立開業。僕もその道を辿ってきたのでその道では先輩風を15〜20m/sくらい吹かせています。
最初は手探りだったり、とにかく顧客獲得に奔走していたり、なかなか経理に手が回らない。そんな気持ちも分からなくはありません。
が、お金が尽きたら商売どころか食べて行けません。
これまでなんとなく通帳の残高でやりくりをして来られたのかも知れませんが…お金の管理ができない人は絶対黒字になりません。約20年この世界で様々な業種のお客様を見てきて得た真理です。
今回はじめての確定申告をされる経営者が4名いますが、この4名は開業初年度だからこそ立ち上げ時から私に依頼してくれました。
理由は「税金のことが全く分からない」「経理のことが全く分からない」から。
開業したてで順調なわけでもないのに、それでも税理士を雇って毎月顧問料を払ってくれています。
4名全員「分からないからこそちゃんとやりたい」と仰っています。
おかげで順調に確定申告が進んでいますし、日々のやりとりで数字を見ているのでアドバイスもいろいろできます。
一方で確定申告期に入ってようやく始めようかという人は…。
この時期はどこの税理士も繁忙期なので、このタイミングで「経理やってません」はなかなか受け入れてもらえません。
ただでさえ多忙な時にゼロから組み立ていかなければならない上に、マイペース過ぎるかたに良い印象を持てず、単価が低い割に手間は膨大…いわゆる「爆弾案件」として税理士が敬遠します。やってくれたとしても高くつきます(大きな事務所でスタッフいっぱいいそうな所なら安価で受け入れてくれるかも知れません。それか商工会や青色申告会ならタダです)。
税理士は安くない?
いくらですか?と聞かれて金額をお伝えすると音信不通になるかたが多くいらっしゃいます。
一方で最初から依頼してくれるかたもいます。
単発で15万円、年間の顧問契約はその倍。
何もしていなくて間際に来て15万円を拒む人と、毎日経理をしていて面談を重ねて年間30万円を払ってくれる人とでは待遇の差はあります。私も商売人なので。
前者はただ高いと言い、後者は経理を一人雇うより遥かにコスパが良いと言ってくれます。
こちらとしてもタイムパフォーマンスを考えればどちらを優遇するかは一目瞭然です。
おわりに
これまでも何度か申し上げてきましたが、これまで44年間の人生の約半分をかけて税理士になって今に至ります。
地べたを這いつくばって、耐えて頑張って、大切なものをたくさん失ってまで培ってきたものを安売りする気はありません。
経営者として生きる大変さも知っているので安請け合いする気もありません。
税理士としてダメなものはダメと言いますし、節税のお手伝いはしても脱税は見逃しません(こちらが業務禁止になるので)。
思うところあって「ひとり税理士」なんてのをやっていますので、そのスタイルが滑稽に見えたり、信用に値しなかったり、頼りなかったり、ムカついたり見えるかもしれません。
そんな時は他の149,999人の税理士のところに行って頂いて大丈夫です。
万人ウケしない異質なスタイルですし、許容量もたかが知れておりますので、田中を信じて任せてくれるかたの対応だけて精一杯です。
信じてついて来てくれるかたに全力を尽くしますので、どうしても篩にかけなければならない時があります。「客を選り好みするのか!」と言われましても、せざるを得ません。
スタッフを大勢かかえて分業して薄利多売でやってる会計事務所のような安売りはひとり税理士にはできません。
生意気な言い草に見えるかも知れませんがこれが田中のやり方です。
つまるところ、日頃から経理ちゃんとやっといた方が何かとおトクだよ!ということです。