簿記論は選球眼
今年の税理士試験で簿記論を受験するという方から「時間をかければ解ける」という話を聞きました。
税理士試験は競争試験なので、たったの一点で順位がずいぶん変わるとも聞いたことがあります。
それゆえ一点でも多く取りたい。と。
2時間で解ききれない量が出る
税理士試験の簿記論は大きく分けて3つの大問があります。
第一問、第二問は個別論点の問題。第三問は総合問題と。
これを30分、30分、60分と配分して2時間でやり切るわけですが、とてもとても間に合いません。
今まで見たこともない言い回しの問題だったり、本番の緊張だったり、普段の力が出せない状況で闘わなければなりません(メンタルにかなり左右されます)。
だからこそ分かる所を確実に得点したいのですが、それをやると後に続く問題に取り掛かる時間がどんどん奪われていきます。
「あと10分あれば…」という話はよく聞きますし、僕自身も経験があります。
でもそれじゃダメなんです。
「2時間」でどれだけ点を拾えるか。それがすべてです。
自分はできる<みんなできる
複数回受験している熟練者ほど陥りやすいのが「やればできる罠」。
難しい論点やめんどくさい論点もやればできてしまう力を持っています。
そんな難問ですらスピーディーかつ正確に解けるようなレベルなら良いのですが、それならとっくに合格していたはず。
問題によっては部分点などもあるかも知れませんが、配点箇所は非公開なので、どこに何点来たのかは分かりません。
噂ですが、まずマルバツつけて、全体の正答率から配点を決めるという試験員もいたとか。
周りが解けない問題を自分は解けた。大きなアドバンテージになりそうですが、そこに配点が来るかどうかは謎。
そうなると、まず最優先すべきは誰でも解けそうな所を見つけて、確実に得点する。ケアレスミスなどもってのほかです。
みんなできる所をうっかり見落としたり凡ミスしたりで失点したら…大きく離されます。
時間をかけて解けた難問の後にみんなできる箇所を見つけたけど間に合わなかった。それでは悲劇です(僕は経験済み)。
おわりに
なまじ自信があったが故にボール球に手を出したもののボテボテの内野ゴロ…。似たようなことを次の財務諸表論でもやらかしてまさかの併殺打…。そんな経験もした田中です。
そうならないためにも税理士試験の鉄則はまず問題の素読み。これは全ての科目に当てはまります。
簿記論の場合は30分、30分、60分の鉄則があるとはいえ、問題の素読みに1〜2分はかけるべきです(3分では長いでしょう)。
そしてみんなできる箇所を見つけて解く。「時間かければできる」は後回し。余ったら戻りましょう。どうしても気になるようなら多少のメモ書きくらいしておけば後から「あれ?あの問題どこだっけ?」と迷子になってロスすることもありませんので。
素読みした結果、第三問から取り掛かるということもあるでしょう。なにも第一問からやらなきゃいけないなんて決まりはありません。
あのイチローでさえ通算打率は3割。一番良かったシーズンでも3割5分です。9,934回打席に立ってヒットは3,089本。
税理士試験で高得点を狙おうなどとは思わないこと。まずど真ん中のどストライクを確実にヒットにすることが大事です。