相対的貧困の解決を税制面で探る(修論のネタになるかも)
日本は先進国でありながら、相対的貧困率が高く「子供の貧困」、「ヤングケアラー」などの問題をよく耳にします。
可処分所得(収入から税や社保などを引いた残り)が122万円未満の人が「相対的貧困」となり、コロナ禍の少し前から「年収300万円時代」、「平均年収186万円のアンダークラスが930万人」など、豊かな国の割に生きづらいという時代になりました。
じゃあこれをどうにかするためにどんな税制であれば良いのか?
そんなことを大学院時代に修士論文で書きました。米、英、仏、独の税制と比較しながら。
タイムリーなネタなのでいくらも書くことがあって、大変ながらも書きやすかった覚えがあります。評価も上々でした。
日本の就労形態が相対的貧困を招く仕組み
仕事柄、サラリーマンの方とくに男性から「ウチの妻はいくらまで稼いで良いか?」と聞かれます。
いわゆる「扶養家族の範囲で」というものを意識されています。
配偶者控除で所得税が安くなったり、会社によっては家族手当が出るところもあるのでしょう。「その枠内で抑えたい」という思惑です。
税金というものを忌み嫌い、1円でも安くという魂胆が自身の就労形態に現れると「稼ぐ」というところからどんどん遠ざかっていくことになります。
所得税は稼ぐほど税率が高くなるので、低い税率で抑えようということは稼ぐのをやめようということです。
そうなると配偶者の稼ぎは低いままとなるので、可処分所得は下がります。「旦那の稼ぎだけでじゅうぶん食べていける!」という世帯なら良いですが、今の時代は共働きが大半。共働きしなければ家計が大変という家庭が多いように見えます。
結婚や出産を機にどちらかが仕事を辞めたり長期の休みに入るわけですが、その後の職場復帰がまだまだ安泰とは言えないのが日本。
ここで一旦キャリアをストップさせてしまうことが日本では致命的で、育休明けにまた正社員として従前の収入を得られるかは自身が選んだ会社次第。運の要素が大きいです。
長期離脱が認められず退職となったら、社会復帰はパートかアルバイトから出直し…。そうなると「扶養の範囲」でしか稼がなくなってしまいます。
少子高齢化が深刻な問題なのに、子育て世代にお金が回るような雇用形態でない。高齢社会が行き過ぎていて、しかもそこは年功序列世代。みんな上の世代に持ってかれてしまうわけです。
年金制度もアテにならないし、ベビーブーム世代の高齢者が上でつっかえていてなかなか出世の道が開かれず、そのせいでこの世代のような退職金は見込めない。
だから今は「雇われている」ということ自体がリスクになり得るわけで、起業しろ!副業しろ!という声も上がっているのかなと。
ばら撒きではなく税制面での優遇を
事業復活支援金や持続化給付金の申請をしましたが、明らかにコロナの影響を受けていて苦しんでいるのに50%にあと数%足りず申請出来なかったという人がいました。
50%下落している人は苦しくて、49%の下落なら苦しんでないだろという判断はいかがなものかと思うわけです。
どこかにハードルを設けなければならないので仕方のないことですが、苦しんでいても救済される人とされない人が出でしまうのは残念なものです。
国のお金を使うのなら、1兆円支払うのではなく1兆円税収を少なくする。それが消費税減税だったりタックスヘイブンだったり、やり方はあるかなと。
ばら撒きオンリーではなく減税も含めたやり方でも良いはずです(給付付き税額控除、N分N乗方式とか)。
おわりに
日本は今、発展途上国に向かっているといいます。
僕が子供の頃より遥かに「親ガチャ」で子供の人生が確定してしまうような時代になってしまいました。天は二物も三物も与え、神様は不公平。「子供は親を選べないから…」と言われてしまっては切な過ぎます。
僕の世代は、当時それなりの就職氷河期で「割を食う世代」なんて言われたものです。だから自力で食べて行けるよう、税理士という分不相応の難関資格に挑戦しました。
国を動かす人が老人ばかりなので、まだまだ変化はないでしょう。国がモタモタしている間に外国勢力からも搾取され始めています。自分の身は自分で守るしかありません。逃げ切れるのは今の50代までと言われているので、僕らは国をアテにしてはいけません。
政治家は自身は身を切らず、国民から搾取することばかり考え、それを嫌がる富裕層や行動力ある人は日本に愛想を尽かして海外移住しています。
この国で生きていくということは、取り残されて、生き延びなければならないということ。
そのためには自身が武装しなければなりません。
「なんとかなるさ」という怠惰な過ごし方ではどんどん取り残されていく時代です。
常にリスクと隣り合わせだという自覚で生きていく。サラリーマンを辞められないのなら他でお金を生み出す術を身につける、安易に投資に走らない(やるなら徹底的に学ぶ)、流行りのフリーランスという言葉に釣られて周りと同じことをしても食べていけない、そんなサバイバルの時代だと思っていれば自ずとやるべきことが見えてきます。
常に最悪の事態を想定していれば、そうならないよう予防線を張るように意識が芽生えて、行動が変わります。
すぐに結果がでるわけでもないので不安になったり後悔したり投げ出したくなったりしますが、動き出さなきゃ何も変えられませんので。