自分の年齢を自覚するには
税理士になると「一生働ける」ということになりますので、周りからは「安泰で良いね」と言われます。
そうなるまでに血反吐が出るような努力で地べたを這いつくばってきたので、そうなってもらわねば割に合いません。
なかなかそうならないのが現実ですが。
年齢的に当然ガタもくるので、「一生」は身体的にも精神的にもムリです。
僕は自分と同い年の有名人(特にスポーツ選手)と比べるのが昔から好き…というか、参考にしていました。
1979年生まれのスポーツ選手は、
- オーウェン(イングランド)
- ピルロ(イタリア)
- ダフ(アイルランド)
- アイマール(アルゼンチン)
- 小野伸二
- 高原直泰
- 稲本潤一
あとF1レーサーのキミ・ライコネンも僕と同い年です。
誰も彼も世界で活躍した逸材で、知らない人はいないくらいの有名人です。
そんな彼らも今やほとんど名前を聞くことはありません。
チームで活躍し、国の代表としても常にレギュラーで活躍したけど、兵どもが夢の跡。
年齢とともに代表を去り、出場機会を求めて格下のチームに移籍し、そして引退。
2022年に43歳を迎える現役トップリーグ選手はコンサドーレ札幌の小野伸二選手くらいでしょう。レジェンド級の彼も今はなかなか出場機会がありません。
10代、20代の逸材がどんどん出てきて、追いやられるわけです(もちろん、小野選手ほどの逸材でしたら精神的支柱としての存在感は計り知れないものがあるでしょう)。
税理士だって同じだと思うのです。
僕の場合、40歳にして合格&独立。やったぁと思いきや、僕よりも歳下の税理士はいっぱいいました。
さらに母校の大学からもたった3年で現役官報合格して大手監査法人に就職した猛者が現れました。
この大学の一期生にして税理士一号だった僕ですが、三日天下に終わりました(笑)
スポーツ選手の中には、見向きもされず、出場機会にも恵まれず、人知れず引退していった同年代の人が各界に数多いることでしょう。
中にはJリーグ創成期に大活躍した天才選手が、今や同級生が棟梁を務める現場で大工見習いをしている。というケースも。
「一生働ける」という税理士でも、資格を取れて安心し怠けていては、このような都落ちを余儀なくされることもあるでしょう。
病気で半身付随になった税理士もいますし、いつどうなるか分かりません。身体的理由でなくても、己の怠惰によって仕事を失うことだってあるでしょう。
僕自身、お客様からは「まだ若いじゃないか」と言われますが、20代や30代の税理士には圧倒されますし、歳下の税理士から教えを乞うことも多々あります。
独立して歳下のスタッフで固めたり、サラリーマンで年功序列という環境では歳を取るごとに頭でっかちになりがちなもの。
僕は「小野伸二と同級生(学校は違うけど)」と、静岡県民&サッカー好きという共通点から、このスター選手と常々比較してきました。
小野選手がフェイエノールトやワールドカップで大活躍している時、僕はうだつの上がらない万年不合格の税理士受験生でした。
同じ時間を生きてきたはずなのにどこで間違ったのか、いつも自問自答していました。
晴れて税理士として独立した今、間違ってはいなかったと思えますが、当時大スターだった小野選手たちの今を見ると、危機感を感じるわけです(全盛期より仕事が無い=所得も少ないであろうと)。
そういう年齢に自分もなったのだと。
歳を重ねるごとにクオリティが低下するようでは僕も仕事を失います。むしろ経験や知識を蓄えてレベルアップして行かなければなりません。
ひとり税理士を「自由で羨ましい」と言われますが、その自由を有効利用しなければ自由が無くなる。そんな危うさの上での自由です。
「将来なんて分からないんだから、今が良ければそれでいい」という思考はとても危険なのです。