事業復活支援金の要件を満たしているのに受給資格が無いということもある。
タイトルのような事例がありました。
現金主義か実現主義かが明暗を分ける
長年、期中は現金主義、決算で実現主義として売掛金を計上する。という処理を行なっている会社がありました。
どういうことかと言うと、売上を入金の事実があった日に計上するということです。
例えば、今月に売り上げたお代が来月に入金されるというケースは多々あると思います。
どのタイミングで売上を計上するのか?ということで、売上という行為の時ではなくて入金の事実をもって売上計上しますよというもの。
そして決算の時だけ、「収益は実現主義」という原則に基づいて、商品やサービスの提供により売上という事実が確定したものについては売掛金を計上する。
こういうやり方をしているのは、会計ソフトに仕訳を入力する際に常日頃から「売掛金・買掛金」を使っていると、売り上げた時に
売掛金 10,000 売上 10,000
という仕訳をして、入金された時に
現金預金 10,000 売掛金 10,000
という仕訳をします。ひとつの取引で2行の仕訳をすることになります。
一方で、日頃は現金主義にしておけば、入金の事実があった時にだけ
現金預金 10,000 売上 10,000
と仕訳をするだけでよく、労力が半分で済みます。これを継続していれば良いわけで、決算で未回収の売上については
売掛金 ◯◯◯ 売上 ◯◯◯
と計上しておけば、決算上の数値は同じです。
仕訳の数(手間の数)で顧問料が変わるというのもありますので、年換算したらなかなかの金額差になるので、顧問料は少しでも安くしてくれという要求があるとこうなります。
それが今回の事業復活支援金の要件で仇となるケースがありました。
受給資格は申告書ベース
お客様サイドで日々つけている売上台帳によれば、今年の1月と去年の1月の売上を比較すると50%以上売上が落ちています。
ところが、今年の1月はその前々月の大きな売上代金の回収がありました。
そのために会計ソフト上のデータ(税務署に提出した申告データ)によれば今年の1月の売上が去年の1月と比べて50%はもちろん30%も減っていない。という事になってしまいました。
実質的には受給要件を満たしているのに、会計ソフトへの入力のしかたの違いでダメになる。それはいかがなものかと思ってコールセンターに問い合わせてみました。
そこでの返答が「確定申告書ベースの数字で審査します」とのこと。
じゃあ、売上台帳に虚偽はないのだから、そこを実現主義ベースにすれば良いのか?
そこまでは聞きませんでしたが、簿記には「継続性の原則」というものが存在するのでダメでしょう。受給したいがために改ざんした=不正受給と捉えられかねません。
溜飲の下がらぬ思いはありますが、このために僕の資格を危険に晒すわけにはいきません。前回の持続化給付金で不正受給で荒稼ぎして捕まった税理士がいますが、僕は自身の判断で不正受給のおそれアリと感じたものは断りました。
確認機関は金融機関や商工会も担っていますし、そちらなら無料ですからご自身の責任で決めていただければ。
おわりに
誰彼かまわず国民の血税をバラまくわけにはいきませんから、どこかで線引きしなければならないのは分かります。
とはいえ、苦しいのは飲食店だけではないし、苦しい中で必死に耐えている経営者はいっぱいいます。
もっとこう、しばらく税率を優遇するとか、もうコロナは自己責任にしてとっとと経済を動かすとか、いろんな負の連鎖に陥っている現状をどうにかして欲しいものです。
まずは国際救助隊かソレスタルビーイングが現れてロシアをどうにかしてくれないかなぁなどと思う次第です。