日本人の生き残り戦略
前々から日本経済について疑問に思っていたことがあります。
1991年、僕が小学校6年生の時に「バブル崩壊」があり、以来ずっと不景気の日本。
2000年のミレニアムの頃、ヘラヘラと遊び呆けていた大学生の僕は就職氷河期の末期に社会に出ました。といっても卒業後2年間はフリーターを経験し、それからの会計事務所勤務ですが。
そこから20年、コロナ以前であっても景気が良いとは思えないような世の中で、そこにコロナの追い討ちがあったわけです。
そんな日本の厳しい状況がOECD(経済協力開発機構)の資料でよく分かります。
このグラフは日本がどれだけ危機的状況にあるか、世界に遅れをとっているかを示しています。
いずれ日本は発展途上国に転落する
日本は恵まれた国です。
世界と比べてモラルがあるし清潔だし衣食住に困りません。普通に不自由のない生活を送ることができる「当たり前」があります。
ですが、実のところ、着実にその「当たり前」は蝕まれています。
先のグラフは先進各国の平均年収の推移を表しているものですが、ご覧の通り日本だけ成長がありません。
リーマンショックをやらかしたり、あちこちで戦争をしているアメリカがぐんぐん右肩上がりなのに、日本は未だバブル崩壊から立ち直れていないということになります。
もたもたしているうちに韓国にも追い越されています。
日本のバブル期、約30年前は日本もイギリスやフランスよりも平均年収は上位で、韓国より70%も多い状態でした。
それから30年後、アメリカは当時の1.5倍に、韓国は2倍に、イギリスやフランスにも抜かれて、日本の成長率は30年間でたったの4%。先進国で日本だけ世界に置き去りにされました。
物価が安いから大丈夫?
日本は全く賃金が上がらず、貧富の差がどんどん広がってきています。
テレビをつければ困窮した生活を強いられている人のドキュメンタリーや食料を施してもらっている人を映した報道…日本ってこんな国だったっけ?と目を疑います。いつから日本人はこんなにもサバイバーになったのでしょうか?
物価も安くていつぞやの「爆買い中国人」の襲来はまるでバブル期に日本人が東南アジアなどでブランド物を買い漁った時のようです。
そんな物価の安い日本だから、賃金が上がらなくても分相応の生活をしていれば大丈夫!
というわけではありません。
日本は自給率が低く、何でもかんでも輸入に頼っている国です。
先のグラフのように、世界は成長を続けていて物価も上がっているということは、海外から入ってくるものも値上がりしていくということです。
コロナ禍の影響もあるとはいえ、大豆や小麦にとうもろこし、原油や天然ガスなどのエネルギー、そういった生活必需品が片っ端から値上がりしています。
賃金の上がらない日本人にとっては生活が苦しくなる一方です。これは致命的な問題です。
新たな総理が「給料を上げる!」と息巻いていますが…この30年間を見る限り、また口だけでしょう。看護師や保育士などのごく一部の賃上げの話が出ているだけです。
他は「賃上げしたら法人税安くするよ〜」の税制を相変わらず…といった程度。7割の法人が赤字なのに。効果は薄過ぎです。
賃上げどころか、コロナ禍でのばら撒きがあったので、待っているのは増税です。
「賃上げできない病」の日本。
日本人の賃金が上がらないのは単に不景気だからということだけではありません。
非正規雇用が多過ぎる、下請けが大企業の買い叩きにあう、デフレ…こんな状況では給料を上げたくても上げられません。
大企業が富を牛耳って利益を出して納税しないと日本の財政は破綻しますし、そんな大企業(経団連)の顔色を伺って優遇する政府というズブズブの関係では庶民にお金がまわってこないでしょう。
その結果、平均年収が下がり続けるわけです。
近い将来、日本の平均年収は300万円台にまで下がるのだそうです。
安倍政権期のマニフェストにあった「自助努力」は今後ますます強要されるでしょう。「取り残されない国」などと政府は言っていますが、頭に「努力している人が」が付きます。
「努力している人が取り残されない国」、「働かざる者食うべからずの国」、といったところでしょう。
日本人の勝算
このような状況下で「人生100年時代」を暮らしていかなければならない日本人。
年金もアテにならないということはみんな分かってる。
じゃあ何で動かない?
これです。問題は。
今の日本人は「今が楽しければ良い」「先のことなど分からないから」「その時はその時」とまぁ危機感が無さすぎます。
だからお金が増えません。
どうにかしたいと思ったら、常に最悪の事態を想定すること。ネガティヴ万歳。です。
そうすれば、じゃあそうならない為にどうしたら良いか?と考えます。
考えたら行動に移ります。
行動すれば、変わります(どっかで聞いた言葉です)。
こういった精神論から、あとはお金を「貯める」のではなくて「産む」「増やす」こと。
日本人はとかく「錬金術」を毛嫌いする人種です。お金欲しいくせに。
今ではすっかり当たり前のクラウドファンディングもお笑い芸人キングコングの西野亮廣さんが最初におおっぴらに始めた時は散々罵倒したものです。
そこを見つめ直しましょう。
普通に働いていてもウマい話はありません。ウマい話は富裕層の間だけに広まります。この仕事をしていて「経営者」を相手にし続けてよく分かりました。
そういった世界の人に会いましょう。当然、フィールドが違うのでそう簡単には出会えませんが、何事も成し遂げるには奇跡を待つより捨て身の努力です。
あとは…米国傾や米国債の投資でしょう。
成長の度合いを見れば日本の上場企業の株は成長にあまり期待を持てません。
リーマンショックのようなこともあるでしょうから日本の株よりもリスクはありますが、それでも立ち直って成長し続けるのがアメリカです。
株だけではリスクがやや高過ぎると感じたら米国債などを混ぜてリスク分散してみてはいかがでしょうか。
これはいきなり投資を始めなくても、iDeCoから始めてみれば良いでしょう。掛金は全額社会保険料控除になるので所得税が減額される上、老後の備えになります。
おわりに
こんな具合に、世界に目を向ければ世の行く末が少し見えてきます。この「少し」の差が、何もしない人とは雲泥の差になります。
OECDの統計は一見難しくて普段の生活に縁の無いものだと思いがちですが、そこから得られるものは計り知れません。
YouTuberの収入のために盛った情報に踊らされるようではいけません。ダボス会議だとかロックフェラー財団なんぞはそれこそ人生に関係ありません(あったところで一般庶民に太刀打ちはできません)。
「不安」こそ最強の商材になる不安情報社会の今、情報弱者にならないためにも学ぶ姿勢は大切です。「めんどくさいこと」にこそ起死回生のチャンスが潜んでいます。