置かれた場所で咲きなさい

タイトルは渡辺和子さんの著書の引用ですが、好きな言葉…というか「それしかないよな」と妥協させてくれる言葉として心に刻んでいます。

最初から税理士になりたかったわけではなかった

誰しも夢があったことと思います。

僕も当初は高校の歴史の先生になりたくて大学に行ったものです。で、学業をやる傍らでボイストレーニングを受けてバンドを組んだりしていました。

バンドで一発当てる!というものではなく、昔からどういった訳が声に特徴があると言われ続け、だったら洋画の吹替(声優)の仕事をしたいなぁなどと本気で考えていました。その過程でバンドに誘われたという次第です。

とはいえ、根が陰キャなものですから、上京してバイト生活しながら養成所に入るという意思はあっけなく大人たち(特に親)に砕かれ、その程度の意思だったのかと自分に失望し、追い討ちをかけるようにその大学には教職課程が無く、先生になる夢すら潰え、ダラダラと自堕落な大学生生活を送っていました。

就活の時期になってもやりたいことが見つからず、せめて好きなことを仕事にとデニムメーカーのエドウィンにエントリーしました。

自堕落なりにスニーカーやアパレルは好きだったのでカラーコーディネーターの資格を取っていたりして、根拠の無い自信がありました。

で、すんなりエントリーシートが通り、何の準備もないままあれよあれよと本社面接になってしまい、初めての就活面接が第一希望。陰キャスキルが炸裂してガチガチに緊張して何も喋れませんでした。

挙げ句の果てに面接官に「せっかくここまで来たのに何もアピールしないのは勿体ないと思いませんか?」と怒られる始末。

幸い同じような人がもう一人いて、「お互い、やっちまったね…」と傷を舐めながらとぼとぼ日暮里駅まで歩いて「まぁ、お互い頑張ろうや」と別れました。

当然、不採用です。

そんな時にバイト先で知り合った人が歳下ながら大学と大原のダブルスクールで税理士を目指していて、「コイツ、歳下のくせにカッケェな!」とすっかり感化されたわけです。

思えば何でも良いから打ち込めるものが欲しかったのだと思います。

そんなきっかけで税理士がどんな仕事をするのかも知らぬまま、卒業後2年間フリーターをして日商簿記2級を取り、前職の会計事務所に就職しました。

その後のことは度々書いているように、18年を要してやっとこさ税理士になったというわけです。

税理士になった後も理想と現実のギャップだらけ

大原のパンフで稼げる度が★5だったので「これなら金持ちになれる!」と不純な動機で始めた税理士の勉強。

しかしながら晴れて税理士になっても…人を雇ってバリバリ拡大!と思ってた当初とは正反対の「ひとり税理士」の道を選びました。

齢四十にして、仕事だけの生活ってどうなの?と思ってしまったので。

仕事と勉強でたくさんのものを犠牲にしてきたので、さらにこのまま税理士になって仕事だけで老いていく…そう考えたらゾッとしました。

恥ずかしながら海外旅行に行ったことがありません。そのお金を大原の学費に注ぎ込んでいたので。

お金がないから呑みにも行けない、スニーカーも買えない、服も買えない、車なんかもちろん買えない…無い無いの20代でした。

当時は「頭文字D」の人気で友達はみんな走り屋をやっていて、AE86やS13シルビア、180SXなどかっこいいスポーツカーに彼女を乗せてウチに来たものです。それを羨ましいなぁと横目に見ていました。自分が惨めだと感じながら。

そんな「惨めな自分」という負い目をずっと感じてきた反動か、誰にも縛られず自由に生きるということに執着するようになり、ようやく税理士登録が見えてきた時に出会ったのが「ひとり税理士」を世に広めた井ノ上先生です。

井ノ上先生のセミナーに参加し、直に色々話を聞いていただき、背中を押してもらえて決心し今に至ります。

同時期の独立なのにボンボンお客さんが増えてバリバリ仕事してバンバン稼いでいる仲間が近所にいて、「稼いでて良いなぁ」と思うこともありますが、たぶんあちらさんは僕を見たら「時間あって良いなぁ」と思っていることでしょう(そもそも眼中に無いかもしれませんが)。

お金で買える幸せとお金で買えない幸せ、どちらが良いか悪いかなんてことはなくて、選んだ自分が幸せかどうかが大事だと思います。もちろん、何をするにもお金は必要なので、ある程度は稼がなければ好きな生き方なんてできませんが。

アメリカンスタイルの会計事務所っぽくない事務所を構えて…などという当初の理想とは真逆の自宅事務所ですが、「ひとり」というスタイルならそれでじゅうぶんで自分に合ったスタイルです。

ひとりなら平日に遊ぶこともできますし。

きっと大勢の中でやるというのが僕には向いてない。大手監査法人という肩書きに少し憧れるところもあるけれど、「ひとり税理士」というスタンスが僕の「置かれた場所」であり、花を咲かせられるやり方なんだろうなと噛み締めています。

今月いっぱいでやっと半年も続いた入院した税理士の手伝いが終わって100%自分の仕事に専念できるので、次の一手を打とうと考えています。

ここに至るまでの長い時間も結局は「自分が下した決断」の積み重ねなので、今、この瞬間、花を咲かせていられるよう、行動していきたいものです。

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