言葉づかいは仕事に現れる

一回り以上若いマスターさんから学ぶところ大でした。秦野のとあるカフェにて。

自己啓発系や成功体験談系の本によく書かれている「言霊」というアレ。今日、なんとなくなるほどなぁと思うことがありました。

といっても、言ったことが本当になるというものではなくて、発する言葉には自分の魂が宿るんだなぁと。だから言葉遣いは気を付けなければいけないなぁと。

発する言葉はその人自身をあらわす。

ということです。例えば、ふだんから荒々しい言葉遣い、汚い言葉遣いをしている人は気性が荒いとか危険な感じがします。

そのテの方々は見た目もおっかない場合が多いですが、今では声に出さずともネットの世界で荒々しい言葉を使って「誰でもよかった」「自分より幸せそうな人が許せなかった」という理由で暴挙にでる人も…。

そんなこんなで、僕は初対面の人やメール等から来る新規の仕事の依頼については「言葉遣い」でひとつハードルを設けています。このハードルは防衛ラインでもあります。

商売とはいえ人と人。おっかない人からの依頼は怖いので受けたくありません。

こんな具合に、言葉遣いについてちょっとやかましい僕なのですが(それが日本語の良い所、美しい所だと思ってます)、今日、前々から一度行ってみたかった秦野のカフェにようやく意を決して行くことができました。

最初はSNSでその存在を知ったわけですが、そこのマスターさんの投稿の言葉遣いや本人とお店のストーリー、そして美味しそうなコーヒーと落ち着いたお洒落な店内の写真に興味を持って、通販でコーヒー豆を購入しました。

届いたコーヒー豆に添えられていた手書きのメッセージもどこの誰かも分からない購入者に対しても丁寧でまごころを感じるものでした。

それで「この人に会いに行ってみよう!」と思い立って今日に至りました。

まだオープン間もないお店のようですが、すでに遠方から訪れる客、常連客も定着しているようです。

決して広くないし、駐車場もコインパーキングを探さなければならない。秦野駅から近いのが救い。という、気付かず通り過ぎてしまうかもしれないようなお店ですが、とても居心地の良い、毎日通いたくなる、そんな素晴らしいお店でした。

聞けば20代半ばで普段は建築デザイナーの仕事をしていて、土日だけ自身のデザインしたカフェで実験もふまえてお店をやっているとのこと。

40歳超の僕から見たら小娘なのですが、とにかく発する日本語がとても綺麗。そして若いカフェ経営者にありがちなヤンチャ感やツンとした感が無くて、「あぁ、この人の周りには人が集まってくるだろうなぁ」と思わされるような御仁でした。

ご本人は何の意識もなく自然と発していましたが、客が店を出るときに「ありがとうございました」「またお願いします」はよく耳にしますが、ここのマスターさんは「良い一日をお過ごしください」と、常連さんでも一見さんでも分け隔てなく、全員に言っていました。もちろん初めて店に入った僕にも。

こういう一言を言える人ってなかなかいないなぁと。若いのに大したものだと。こういう雰囲気は自分にもあった方が良いなぁと学びになりました。

肝心のコーヒーもネルドリップで丁寧に。嫌な苦みや雑味がしない、美味しいコーヒーでした。コレは人気になるわと。静岡やよく行く山梨にも無い雰囲気の、とにかくコーヒーだけを楽しめるレアなお店です。

他にお客さんがいなくなった時に少し雑談をしてマスターさんのストーリーを聞かせて頂きましたが、なんて立派な人だろうと。僕が税理士試験を始めた頃はまだランドセルを背負っていた子に今日、いくつかの気付きを与えられました。

やはり、人の内面は発する言葉や目つき、身に付けている物に現れて、さらには仕事ぶりにも現れるんだなぁと。そして、果たして僕はどうなんだろうかと、少しずつ独立生活に慣れてきた自分、手伝い仕事に振り回されて荒れ気味な自分に喝を入れられたような気分です。

おわりに

一見さんにも関わらず話をしていただき、還暦になったらカフェをやりたいから勉強してるという話もちゃんと聞いてくれました。

その時の店舗や今後もし事務所テナントを構えることになったらそのデザインをしてくれるという約束をして頂き、念願のデザイナーのツテができてほくほくです。

あとこのマスターさんから僕に対して似たような印象を抱いて頂けたのがすごく嬉しく、まさに「良い一日」でした。

が、「良い一日をお過ごしください」と見送られての帰り道、東名高速で事故渋滞に巻き込まれて、飲み過ぎたコーヒーによる尿意をひたすら我慢し続ける苦行については果たして良い一日であったかは定かでない。