ニーズに合わせる=商売 ではない

「記帳代行のニーズはまだまだいっぱいあるからチャンスですよ!」時々そんな決まり文句で営業が来ます。

確かにニーズの無いものは売れませんので仕事になりません。

とはいえ、ニーズがあるからという理由だけで商売する。というのも違うかなと。

やりたくない仕事はやらない

ニーズがあろうと自分がやりたくないなと思ったらやりません。

だから独立したのです。

それでもし食べていけなくなってもそれは自己責任ですから良いわけです。そうならないように展開していますが。

今、長期入院を余儀なくされたひとり税理士のヘルプで時間外労働、休日返上という僕の「やらないことリスト」の筆頭に掲げられていることをやっています。もちろんこれは人助けなので引き受けたからにはやります。あくまで個々の事務所のスタンスということです。

「それが仕事ってもんだろ」「その分お金取れるから良いじゃん」というご意見もあるかもしれませんが、「お金」だけが基準ではないためです。

仕事なので体は削りますが、心は削りたくない。そんな思いから「無謀だ」た言われても独立しました。

心が削れる仕事とはストレスになる仕事。それをお金でカバーする。そう割り切って商魂たくましくやれたら良いのですが、そうもいかない性分なので。

いくらお金を積まれても、心が「嫌だなぁ」と思ってしまったらその業務に対するクオリティが低下しますし、それでは貢献できていない。ということにもなります。

丸投げの是非

経営者の中には仕事に忙殺されていてなかなか経理などの事務仕事に時間を割けないという方もいらっしゃいます。

その場合には、とにかく領収証やらタイムカードやらをひとまとめにして税理士に取りに来てもらう。

依頼者から見たら経理の手間から解放されますし、税理士から見たら記帳代行や給与計算の追加報酬も取れる。

そういう点から「ニーズがある」と言われる所以かもしれません。

ただ、それでは何年経っても知識が身に付きません。そうなると今回のように頼んでた税理士が長期離脱したとか契約解除があったといった時に困ることになるわけです。今は記帳代行や給与計算は断る税理士も多いです。

長い目で見たら損にしかならないかなと。

自分を欲してくれるニーズを目指す

僕は税理士として出来ること、出来ないことというのをホームページやブログといった媒体で明確に表示しています。

そうすることでお互いのミスマッチを防げますし、何より自己防衛にもなります。

まだまだ理想でしかありませんが究極的には完全なるペーパーレス、電話&FAX廃止、クラウド会計のみ対応、相続案件は全て外注。といったところです。

世代の壁もあってなかなか対応が難しい部分も多々ありますが、だからといって最初から諦めていたら何も変えられません。

すでにこの理想を体現しているひとり税理士も存在していますので、やって出来ないものでもないはず。そのためにもアピールし続けるべきだと思っています。

お客さんからのニーズだけに囚われるばかりでなく自分自身が思うニーズとの釣り合いも大切にしていきたいものです。せっかく独立したわけなので。