成功体験談は信じるな!

あなたはその成功者とは違う

今年の税理士試験も直前期に突入し、ピリピリするシーズンに入りました。

順調に合格ラインの点数を出せている人は良いのですが、そうでない人に向けたお話です。

SNSなどを見ていると、受験生の方々の悪戦苦闘の投稿が目立ちます。

思うような成績ではないために、これまでとは違うやり方に手を出している人、ちょっと闇雲だなぁと感じる人、心配になる人ほど悪戦苦闘の投稿が多いように感じます。

僕がそうだっただけによくわかります。

「初学者が半年で合格」「年明けから始めて一発合格」「4年で官報合格」そういった方々が言うやり方は片っ端からマネてみましたが、どれもしっくりきませんでした。そして結果は不合格。テクニックをマネしたところで合格できなくても責任は取ってくれません。「それはお前の努力と根性が足りなかったんだよ」と一蹴されてハイ終わり。

参考にするのは良いですが、同じやり方をすれば合格するわけではありません。一方でただやみくもに解きまくれば良いわけでもありません。

誰よりも不合格通知を受け取ったので既に「この人は落ちるだろうな」というのも正直言って分かります(くどいようですが僕自身が誰よりも落ちてきたので)。同じ事ニオイがぷんぷんするわけです。

成功者のやり方というのは、その人が何度目で合格したのかにもよります。僕のように落ちまくった人間が残り2ヶ月で一発合格した人のやり方を真似てもうまく行く確率は低いでしょう。

とにかく総合問題を解け。という罠。

大原やTACの講師は口を揃えて「総合問題を解きましょう」と言っていました。僕の受験生時代は。

合格体験談には「講師を信じて頑張った」というコメントが多く、そういうものだと信じて疑いませんでした。

それで17回落ちて、18回目でやっと簿記論に合格しました。

10回を超えたあたりから「なんで田中さんが合格しないのか分かりません」「受け続ければそのうち合格しますよ」と毎年匙を投げられる始末。

もちろん根本的な問題は僕自身にあるのは当時も重々承知でしたが、具体的にどこが悪いのかは分からず「先生の言う通りにやってるのに何で本番だけダメなんだろう…」と悩む年が続いていました。

今になって思うのは、「量」にこだわり過ぎて「質」が悪かった。ということです。

本試験1ヶ月前は1年分の有給休暇を全て使って、簿記論の2時間の総合問題を1日3つ。プラス税法1科目。1日12時間以上、毎日勉強し続けていました。

「これだけやったんだから大丈夫」という自信を持って本試験に臨みましたが結果は不合格。

膨大な量の総合問題を解き、答え合わせや見直しを解答時間以上にかけたりもしていました。

90点以上取れるまで解き直しました。

そこに罠がありました。

人一倍の量をこなした事で自信が付いたのは良いのですが、「その問題が解けるだけ」だったのです。

当初間違えていた論点をマスターしたわけではない。それが敗因でした。

それに気付いてからは、先生に時間の無駄と言われても個別問題も毎日解いたものです。総合問題を1日2つにして、浮いた時間で個別問題を解く。

意外にも個別問題が間違いだらけ。根本的な部分で勘違いしていた論点もありました。

このやり方を編み出してからは安定して毎回ランキングのトップクラスに君臨し続け、やっとの思いで合格することができました。

この時の勉強法以外でのテクニックは、以前のブログでも書いた、雑音をシャットアウトするバイノーラルビートのアプリ。

バイノーラルビートを水や風の音、癒し系音楽と重ねて使えます。無料でじゅうぶんな性能です。

ザー…という雑音が周囲の話し声をもかき消してくれるのですが、それほどの雑音なので単体ではやはり気になるもの。それに他のサウンドを掛け合わせて気にならなくさせつつ、癒し系の音でリラックスできるというもの。

これをノイズキャンセラー付きのイヤホンやヘッドホンがあれば無敵でしょう。僕は普通のイヤホンでしたが(耳の中にギュッと差し込むゴムがついているイヤホンの方が少し耳栓効果もあってよりオススメ。(強く奥までやると耳を痛めるおそれがありますし、イヤホンの細菌はトイレの便座の20倍も汚れていて外耳炎の恐れもあるので清潔にしておきましょう))。

他には、勉強の前にコーヒーを飲んで15〜30分仮眠をする。というもの。

医療的な根拠は知りませんが、地元のトップクラスの進学校を首席で卒業した人から教わったので試したところ、効果的だったのでやったものです。

カフェインを摂取して少しだけ仮眠を取ると脳が活性化するとかでスッキリします。これは今でも仕事で集中力が落ちている時、車で遠くに行ってて疲れてきた時などにも活用しています。

こういった体のコンディションを整えるのも大事です。ただでさてストレス100%の世界にいるので。

おわりに

今回は簿記論メインになってしまいましたが、基本的には財務諸表論も税法も同じです。計算問題は最後まで個別問題をやる時間も確保していました。

その上で財務諸表論の理論は丸暗記ではなく理解する(理サブは使わずテキストを縮小コピーして解説文をひたすら読んで理解に努めました。財表はキーワードがきちんとしてればある程度作文でも通る部分がある)。税法は大原の理サブでいうと「★」が付いているところを根性で回し(読んで暗記は出来なかったので手首を痛めてもひたすら書き続けた)、直前期に大原で配られる理論暗記のプラン表を愚直に守ったら、合格した年は本番でゾーンに入って書くべき理論が答案用紙に浮かび上がって見えました(マジで)。

日本一不合格を経験しながらも税理士になれた人間がここにいます。当時は「闘う心があれば負けはしない!」という戦国無双の真田幸村の決め台詞を座右の銘にしながら、ひたすら根性論100%でがむしゃらにしゃかりきに挑んでいたものです。

今やすっかり根性論を軽視する風潮になってしまいましたが、税理士試験はトントン拍子で合格した人のテクニックをマネして合格できるような試験ではありません。

根性出した先に閃いたものがその人の合格のテクニックなのです。

高校で赤点取って、地元の三下大学でヘラヘラしてて、簿記論合格に18年かかった僕が今は税理士として会計参与にも任命されるまでになりました。

だからあなたも大丈夫。受験がうまくいかなくて、何とかしたくてここに辿り着いたのだとしたら、その人は必死に闘っている人。闘う心があれば必ず税理士になりますから。「アイツが合格できたんだから自分も行ける!」と思っていただけたら幸いです。