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42歳、独身。
この本の著者よりも痛々しい響きです。
僕も普通に人生を送ってどこにでもいるように普通に家庭を持って普通に老いていくのだろうと。祖父母がいて両親がいて僕がいるのですから、いずれ子、孫と遥か遠いご先祖さまからの命のバトンが続いていくのだろうと思っていました。
決してモテる側の人間ではありませんでしたが、人並みに異性とお付き合いもしましたし結婚を約束した相手もいました。
にも関わらず結婚の「け」の字もない。両親には「孫を見られずに死ぬのかねぇ…」などと言わせる始末。「ごめん。」としか言えませんでした。
自分の心地よさを選び続けた結果
税理士試験の呪縛から解放され、独立することで自由を手に入れ、いろいろ無駄に考える時間ができました。
「何故こうなった?」を考えることが一番多いでしょうか。
これまでに一番結婚の可能性があった女性とは税理士を目指したのがきっかけで別れを告げられました。
高校生の頃に赤点を取ったような人間が身の丈に合わない税理士という難関資格に挑み始め、案の定、壁の高さに長い足踏み状態が続きます。
そんな僕を見て「アンタの事を考えて将来が不安になるのが嫌だ」と。
できないなりに勉強に集中してばかりいたので思いやる心が欠落していたのだと思います。結婚したいなら早く結果を出せよと。もしくは両立して見せろよと。今ならそう思いますが、当時は束縛されたくない、眼前の目標に集中したい、自分が心地よく挑戦できる環境を重視する方を選んでしまいました。
そこから18年もの暗黒時代が始まったとはつゆ知らず。
目標達成。税理士になったけど変わらない。
僕の周りの税理士受験生の9割は働いて受験をしながら家庭も持っています。
どうやら僕がマイノリティのようです。
僕も受験期間中にお付き合いしていた時もありますが、どうにも「足かせ」になってしまいました(そもそもそう思ってしまうことが問題なのですが)。
気を遣うあまり勉強がおろそかになってしまったり、直前期はプレッシャーやストレスが溜まるのに必ず彼女との時間も作らなければ「大事にされてない」と言われてしまう…。
頼むから勉強させてくれ…と、こちらからギブアップしたこともありました。
全ては「税理士になったら報われる」、「税理士になれたらその時の俺はカッコイイ。その時はカッコイイ俺なんだからモテるだろう」などと本気で考えていたものです。
さて、税理士田中晃広です。
自分がカッコイイなどとは思えませんし、ガツガツ女性を追い求めるような気分にもなりません。何だか思ってたのと違うようです。おかしいですねぇ…。
勇者になれなくても不思議と焦りは無い
もしかしたら四十路になったので割り切れたのかも知れません。
以前、同級生の友達は「俺は恋愛じゃなくて結婚がしたいんだ!」と結婚相談所に登録した末、結婚していきました。
また勇者がひとり、遠くへ旅立って行きました。
この歳にもなると一般的には家庭があるので自由に遊ぶことは許されません。ほんの数年前まで毎週末のように飲み歩いておよそ異性には聞かせられないような話で盛り上がったりしたものですが、今は何に1〜2回会う程度。何年も会ってない人もいます。
取り残された、余り物、そんな卑下したくなる時もありますが、不幸ではないなと。
税理士試験に20代〜30代を棒に振ったので税理士になって独立開業した40代が「遅咲きのリンドウ」だなぁと。
出来なかったことをやれるようになり、縛られるものもなく、自由気ままな毎日を送っています。
自宅事務所だから出勤の概念が無い、ひとり税理士だからどこで休憩を入れても怒られない。8時間拘束されるなんてこともありません(やり過ぎてしまうこともありますが)。
そんな自由を噛み締めて、時に不安になりつつ…みっともなくて寂しいおっさんなりに今日も後悔は少な目のマイライフを目指しています。
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